(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)
CB1は体内のエンド・カンナビノイド・システム(ECS)において、非常に重要なタンパク質です。
CB1は、大麻(麻)の酩酊作用をもたらす成分である、Δ9-THC(テトラヒドロカンナビノール)の主なターゲットです。
THCはCB1のアゴニスト、つまりCB1を活性化する物質です。
THCがCB1受容体に結合することにより、THCで酔う感覚が生じます。
「THCは、体のCB1受容体を活性化することで、ハイな気分にさせます」
「身体には、CB1とCB2という2つの主要なカンナビノイド受容体があります」
▶︎ 「大麻(麻)とは?」を丸ごと解説
▶︎ 「THC(テトラヒドロカンナビノール)とは?」を丸ごと解説
▶︎ 「カンナビノイドとは?」を丸ごと解説
CB1(カンナビノイド受容体タイプ1)とは、どんな意味?
CB1は「カンナビノイド受容体タイプ1」の略で、「カンナビノイド受容体タイプ2」のCB2とは異なるものです。
CB1とCB2は、ともに体内のエンド・カンナビノイド・システムにおいて重要な役割を果たし、身体の幅広い機能や作用の調節に役立っています。
CB1は主に脳・中枢神経系・肺・肝臓・腎臓で発現し、CB2は主に免疫系で発現します。
CB1受容体とは?
カンナビノイド受容体は、体内に存在するエンド・カンナビノイド・システムの重要な構成要素です。
人体がすべての機能を最大限に発揮するためには、バランス、つまりホメオスタシスと呼ばれる身体の恒常性を保つしくみが必要です。
エンド・カンナビノイド・システムは「カンナビノイドという伝達物質」「カンナビノイドが結合する受容体」、そして「カンナビノイドを分解して代謝する酵素」という、3つの要素によって身体の恒常性を維持しています。
エンド・カンナビノイド・システムには、痛み・ストレス・食欲・エネルギー・代謝・心血管機能・報酬と意欲・生殖・睡眠などを調節する役割があります。
研究が最も進んでいるカンナビノイド受容体は、カンナビノイド受容体タイプ1(CB1)とカンナビノイド受容体タイプ2(CB2)です。
CB1受容体は、主に中枢神経系に存在し、脳の様々な機能を制御しています。
また、皮膚を含む全身にも広く分布しています。
体内で合成されるカンナビノイドの代表格である、アナンダミドと、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、いずれもCB1受容体に結合します。
このように、CB1受容体は、他のエンド・カンナビノイド受容体とともに体内で機能しています。
CB1受容体は、大麻の酩酊成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)のターゲットとなることから、THC受容体とも見なされています。
このことから、CB1受容体は大麻による多幸感に大きく関与しています。
ヒトの場合、CB1タンパク質はCNR1遺伝子を元に生成されます。
▶︎ CNR1 カンナビノイド・レセプター1(アメリカ国立生物工学情報センター:英文)
体内でつくられる他のすべてのタンパク質と同じく、CB1タンパク質をつくるための設計図である遺伝子は、DNAの中に存在します。
この設計図に、突然変異がランダムに起こることは、よくあることです。
一般の人の中には、異なるバージョンのCNR1遺伝子を持っている人がいます。
これは、THCやCBD(カンナビジオール)などの大麻化合物に対する反応が、人によって異なる原因の一つかもしれません。
大麻を繰り返し使用すると、脳全体のCB1発現量が減少して、耐性が生じます。
しかし、大麻の使用を48時間やめただけでも反応が回復し、CB1タンパク質の発現は、大麻を使用していない人と同レベルにまで戻ります。
CB1の構造
CB1は、細胞膜に存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一つで、神経系全体に広く発現しています。
CB1は、脳のほぼすべての領域の、あらゆる種類の神経細胞に存在します。
▶︎ Gタンパク質共役型受容体(GPCR)(Scitable by nature EDUCATION:英文)
▶︎ 成熟ラット脳における神経性カンナビノイド受容体の分布:受容体結合ラジオアイソグラフィーとin situ hybridizationによる組織化学的比較(Neuroscience:英文)
CB1受容体は、結合面を外側に向けた状態で、細胞膜上に存在します。
いわば、CB1受容体が「錠」で、カンナビノイドが「鍵」のようなものです。
体内で合成されるカンナビノイドも、植物性(フィト)カンナビノイドも、CB1受容体を見つけて「鍵を開け」ます。
細胞内部にあるGタンパク質は、CB1受容体の尾部に結合しており、THCのようなアゴニストによってCB1受容体が活性化されると、その刺激を伝えるために細胞内に放出されます。
CB1受容体は細胞内部にも存在しますが、これらの受容体が細胞内でも機能しているのか、それとも、リサイクルされて細胞表面に再び発現するのを待っている状態なのかは、まだわかっていません。
最近のCB1受容体の構造データによると、CB1受容体には、THCからのシグナルを受け取るのに適した、ポケット状の結合部分があることが明らかになりました。
この構造上の特徴により、THCがCB1のアゴニスト(活性化物質)として働くことで、THCの酩酊作用が起こるのかもしれません。
▶︎ ヒトCB1カンナビノイド受容体の高分解能結晶構造(Nature:英文)
CB1受容体は、主要な結合部位とは別の部位を介して、活性化されることがあります。
これを、アロステリック・モジュレーションと呼びます。
アロステリック・モジュレーションの方法でCB1受容体を活性化することにより、THCの望ましくない作用を回避しつつ、治療効果を得ることが可能になるかもしれません。
CB1受容体の機能
CB1は、エンド・カンナビノイドであるアナンダミドと2-AGが結合する受容体です。
これらのカンナビノイドは、2つの神経細胞の隙間を、他の神経伝達物質とは逆方向に浮遊することから、「逆行性伝達物質」と呼ばれています。
これらの分子がCB1受容体に結合すると、CB1の細胞内の部分からGタンパク質が放出されて、多くの細胞内プロセスが活性化されます。
CB1が関与する最も重要な細胞内プロセスの1つは、神経伝達物質の放出を調節することです。
CB1受容体の脳内での主な役割は、セロトニン・ドーパミン・グルタミン酸などの神経伝達物質の放出の調節です。
CB1受容体は、神経伝達物質が、一定の間隔をあけて横断歩道を渡るように制御する『神経伝達物質の交通整理員』のようなものと考えてください。
基本的に、CB1受容体が活性化すると、神経細胞が神経伝達物質の放出が抑制されます。
CB1受容体の活性化
アゴニスト、つまり活性化物質がCB1受容体に結合すると、何が起こるでしょうか?
CB1受容体が活性化されると、治療に役立つ効果から、阻害する作用まで、以下のような特徴的な作用が現れます。
カンナビノイドのCB1受容体への作用
CB1は、カンナビノイドと呼ばれる化学物質によって活性化されます。
カンナビノイドは、その生成方法に基づいて分類されます。
エンド・カンナビノイドは体内で自然につくられるもので、植物性カンナビノイドは、大麻に代表される植物内で生成されるものです。
ラボであれば、天然のカンナビノイドと同様の機能を持つ、合成カンナビノイドを人工的につくることもできます。
大麻が体に明確な影響を与えるのは、大麻のカンナビノイドがCB1とCB2の受容体を活性化するからです。
このため、カンナビノイド受容体のことを「大麻受容体」と呼ぶ人もいます。
大麻を摂取すると、植物性カンナビノイドがエンド・カンナビノイド受容体と相互作用して、受容体の持つ機能を引き出します。
高揚感(”ハイ”になる感覚)
CB1受容体の機能の中でも、とりわけ重要なのは、脳の大脳辺縁系と報酬回路の調整を助けることです。
THCの刺激を受けると、CB1受容体はドーパミンの伝達に影響を与えて、多幸感のある高揚した気分(いわゆる、「ハイ」になった状態)を生み出します。
痛みの緩和
CB1は、大麻の多幸感を促進するだけでなく、脳の痛みの制御にも関与しています。
CB1が痛みの緩和効果を発揮する主な部位は、痛みの「本部」がある中脳です。
カンナビノイドやオピオイドは、この伝達経路に作用することで痛みをやわらげます。
CBDよりもTHCのほうが鎮痛効果が高いのはこのためです。
痛みをやわらげる効果を発揮するためには、脳内のCB1受容体に働きかける必要があります。
CBDは、CB1受容体を活性化しないため、人によってはTHCに比べて痛みを緩和する効果を感じにくい場合があります。
しかし、CBDには抗炎症作用があるので、それだけでも効果を感じる人もいます。
▶︎ カンナビノイドのラット尿路周囲神経細胞の膜特性およびシナプス伝達に対する作用(in vitro)(MOLECULAR PHARMACOLOGY:英文)
▶︎ 痛みの下行性調節:鎮痛のGABA阻害仮説(ScienceDirect:英文)
鎮静効果と運動障害
エンド・カンナビノイドのシグナル伝達によってもたらされる鎮静効果と運動能力の低下。
これは、運動機能を調整する脳の部位である、大脳基底核に存在するCB1受容体が関わっていると考えられています。
▶︎ カンナビノイドの脳への影響について(ScienceDiect:英文)
認知および記憶障害
大麻が認知機能に影響を与え、記憶能力を低下させるのは、海馬に存在するCB1受容体の活性化によるものです。
頻脈
大麻は、頻脈(異常に速い心拍数)を発生させることが知られています。
心筋細胞に存在するCB1受容体が直接活性化されることにより、頻脈が生じる可能性があります。
CB1受容体は、髄質など、呼吸や心拍数をつかさどる自律神経系の部位に多く存在します。
また、CB1受容体は、延髄(脊髄と脳がつながる部位)に多く存在し、不随意な(意識を伴わずに働く)生命機能をコントロールしています。
食欲
特に脳の視床下部に存在するCB1受容体は、食欲と代謝に大きな役割を果たしています。
CB1は、生存のための「エネルギーの欲求」と、快楽のための「快楽性の欲求」の両方に関わっています。
また、近年発見された、エンド・カンナビノイド・システムと腸内細菌叢(腸内の微生物の「コミュニティ」)との相互作用も、身体の代謝機能に関与している可能性があります。
▶︎ 内因性カンナビノイドシステムは、中枢性のオレキシジェニックドライブと末梢性の脂肪生成を介してエネルギーバランスに影響を与える(Journal of Clinical Investigation:英文)
▶︎ カンナビノイド・システム:食事のホメオスタシスとヘドニックな制御の両方に役割を果たすのか?(British Journal of Nutrition:英文)
THCはCB1受容体に結合するの?
『British Journal of Pharmacology』誌に掲載された論文によると、THCはCB1およびCB2受容体のアゴニスト(活性化物質)です。
つまりTHCは、カンナビノイド受容体に結合して、体内で生成されるエンド・カンナビノイドの役割を模倣するということです。
基本的に、THC分子は、CB1またはCB2受容体を活性化することにより、効果を発揮します。
CBDはCB1受容体に結合するの?
体内のエンド・カンナビノイド・システムには、CBDに対する特定の受容体は存在しません。
THCやCBDなどの植物性カンナビノイドは、体内で合成される伝達物質であるカンナビノイドを模倣してCB1やCB2受容体に結合することで、活性化したり、逆に阻害したりします。
THCはアゴニスト(活性化物質)で、CBDはアンタゴニスト(阻害物質)です。
CBDはカンナビノイド受容体をブロックするため、THCの活性化作用の一部を打ち消す効果があると考えられています。
『ウィードマップス(weedmaps)』イザック・クレック博士によるレビュー(2021年6月18日)
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※記事はアメリカでの法律、
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