本記事は、チェコ共和国における大麻展示会の実情をレポートするものであり、日本国内での違法薬物の使用、所持、栽培、売買等を推奨・助長する意図は一切ありません(THCを含む大麻製品は、日本の大麻取締法で厳しく規制されています)。
はじめに
街全体が世界遺産に登録されているチェコのプラハ。
「中世の宝石箱」と言われるほど、美しい街並みやその景色で、私たちはもうひとつの現代的な文脈ー大麻に出会うことができます。
毎年11月、CBDライブラリーでは、ヨーロッパ最大の大麻展示会『カンナフェス2025(CANNAFEST2025)』の現場レポートをお届けしてきました。
そして2025年、15周年を迎える『カンナフェス』は、コロナ時代の低迷を経て、かつてなく盛況なイベントになりました。
その象徴とも言えるのが、チェコのファーストレディ、エヴァ・パヴロヴァ氏が視察に訪れたことです。
彼女は出展者とも20分ほど会話し、大麻の医療利用や、栽培で投獄された人々の悲痛な物語に熱心に耳を傾けていたと言います。
国のトップが公の場でこのような姿勢を見せること自体が、チェコの変化の速さを物語っています。
| イベント名称 | カンナフェス2025 |
| 公式URL | ▶︎ CANNAFEST |
| 開催期間 | 2025年11月7日〜9日(11:00〜20:00:最終日は18:00まで) |
| 会場 | PVA EXPO PRAHA(チェコ:プラハ) |
| 内容 | ・世界中から大麻関連事業者が集い、CBDオイルや食品・化粧品・衣服のほか、栽培器具や肥料・種・喫煙用具・ヴェポライザー(蒸気吸入器)など、幅広い商品が出展されます ・知識啓蒙メディアや、大麻を自然資源として利用する企業、医療大麻合法化団体による、様々なテーマのカンファレンスも開催されます |
| 主催 | Cannafest, s.r.o. |

今年のレポートでは、これまでとは少し違う切り口でレポートしてみようと思います。
CBDライブラリーとして、堂々とヨーロッパの大麻のリアルをお届けしたい—そう考え、少しタブーに触れる心配がありますが、あえてこのページではTHC(テトラヒドロカンナビノール)と、大麻展示会周辺について注目した内容を残していこうと思います。
この中で、各自ビジネスパートナー達とTHCを介したコミュニケーション『THCommunication(THC + Communication)』が行われていきます。
それらは同時に大きな法的・健康的リスクと隣り合わせの危うい関係性の上に成り立っていることも事実です。
それでは行ってみましょう。
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THCとビジネスが交差する夜:大麻業界のVIPパーティーに潜入

大規模な大麻展示会ほど、世界各地から業界関係の人が集まります。
昼間は見本市、夜は各地でビジネスとカルチャーが混じり合う、パーティーが行われます。
多くの展示会と同様に、『カンナフェス』も金・土・日曜日の開催。
ですので、木曜の夜から土曜の夜にかけて、3日間の夜があります。
日曜日は、夕方にイベントは撤去され、足速に出展者たちは世界各地に帰って行きます。
さて、パーティーはプライベートもしくはVIPパーティであり、参加には「招待チケット」を持っているかどうかが重要なポイントになります。
そこには、特別性と秘密性を担保するための厳選された“ふるい”がかけられているのです。

そんな招待を受け、私たちが参加したのは、木曜日に開催された、チェコのある大手グロワー用品企業主催のパーティーです。

外観からして異様な円形構造の本社ビルに一歩足を踏み入れると、その建築がただの倉庫ではないことがすぐにわかります。
2階部分はショールームになっており、階下を見下ろせば、ウェアハウスがパーティーの舞台になっています。

ショールームを会場に使うという選択は、店頭の商品が盗まれることもあり得ることを意味します。
つまり、招待制のチケットをもっているお客達は信用されており、それが継続できているということは、築かれてきた信頼の証拠です。
このパーティーの中で、ビジネスパートナーとの関係構築をしたり、新しい出会いとビジネスチャンスが生まれます。

そして、このパーティーでは大いに大麻が巻かれ、焚かれています。
基本情報として、2025年のヨーロッパでは、ほとんどの国でCBD(カンナビジオール)製品と称して、THC(テトラヒドロカンナビノール)濃度が0.2〜0.3%、チェコでは1%未満の大麻製品(CBDバッズ、ベイプ、ティンクチャー等)が店頭で販売、購入ができます。
一般的THC大麻(THC10〜30%)の吸引や所持は、国によって異なりますが、チェコでは吸引と3株までの栽培が合法。
所持に関しては、2026年から100gまで合法になります。

こうした文脈の中で、パーティーに来たゲスト同士で乾燥大麻やレジン、もちろんそれ以外のドラッグが自由に持ち込まれ、互いに品評、売買されていることも少なくありません。
驚くべきことは、何百人もの規模のパーティーで、アルコールを含めたドリンクも軽食も無料というところです。
これが、営利目的のバーやクラブにはない、プライベートパーティーの特徴です。
グロワー系ショーケース、テクノ音楽、フリードリンク、そして見渡す限りのTHC。
チェコのトップグロワーショップが持つ勢いと影響力を肌で感じる一夜でした。
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THCの頂上決戦:熱狂と煙に包まれた「カンナビスカップ」の夜

金曜の夜、私たちはカンナビスカップ(Cannabis Cup)へ足を運びました。
カンナビスカップとは、その名の通り、大麻のコンクールです。
応募者は、自身のブランドや会社やブランドのオリジナル品種に箔をつけるために参加します。
審査員は毎年推薦で数人選ばれ、10種以上の大麻を吸引し、採点していきます。
そしてその授賞式とパーティーが開催されるという、まさに大麻のためのイベントです。

このイベントも機密性は高く、参加は招待制。
事前登録や連絡を経て、行われる場所も、直前まで知らされません。
ここにも、招待を受けた大麻系事業者が沢山きています。

今年の流行りはTHCライブレジン。
最もクリーンな大麻成分が吸引できる点、価格も1g=約100ユーロと高単価で、利益率が高い点もあり、会場周辺の至るところでダブを片手に品評会やディールが行われています。
ちなみにこのカンナビスカップには、乾燥大麻とレジンの2種類の部門があります。

コンサートやライブ、さらには“大麻早巻き競争”まで——会場は一夜限りのイベントでスケジュールがぎっしり。
ちなみにここでもフード、ドリンク共に無料。
さらにはレジンやエクストラクトの試飲ができるテイスティングコーナーまであり、大麻パーティーとして様々な趣向が凝らされていました。
もはや「裏」ではないTHC:「建前」と「本音」が渦巻く展示会

最後のTHCコーナーとして、今年の『カンナフェス』の全体の雰囲気をざっとお見せし、徐々に大麻展示会におけるTHCのリアルを取り上げていきます。

まず、昼間の展示会は超満員。
会場の中も外も、一般客、展示者、大麻事業従事者など週末は歩けなくなるほどの人の量です。

乾燥CBD大麻(THC1%未満)や、クローン株の販売はもちろんのこと、ヨーロッパ中から100を超える会社が集まり、各々の新作を展示、販売しています。

日本からもラーメン店、トリミングのハサミメーカーなどが、日本独自の技術・職人文化を武器に参戦しています。

こどもやお母さんたちの姿も随分多く見られます。

冒頭でも触れましたが、今年のオープンな雰囲気を最も象徴していたのは、ファーストレディ、エヴァ・パヴロヴァ氏がごく自然に会場を視察していた光景でしょう。
特別な警備体制が敷かれるわけでもなく、彼女は熱心に出展者の説明に耳を傾けていました。
子供たちが走り回るすぐそばを国のトップファミリーが歩き、大麻の未来について語り合う。
こうした光景こそが、この展示会がもはやアンダーグラウンドなものではなく、社会的な広がりを持つイベントであることを物語っていました。
グロワー向けの道具、CBD関連の商品、ヘンプハニーやビール、アクセサリーやチーズまで、「大麻好き」を共通項に、皆がイベントを盛り上げています。

出展者としてではなく、一般客として会場に入り、自分達の会社や機関、協会などの草の根営業をする人たちもいます。

また、欧州の数ある大麻展示会のオーガナイザーたちも、常に今回のような他の大麻展示会に顔を出し、来年の出展者の参加を募っています。
会場では、ルール上では「室内では喫煙禁止」「大麻や自然化合物以外の物質は販売禁止」とあります。
しかし、それを守っている人はなかなかいないのが現状です。

それでは、徐々にTHCの話に移っていきましょう。
私たちCBDライブラリーは、毎年ヨーロッパ中の見本市を視察していますが、最近の変化は、より堂々とTHCを売っていることでしょう。
以前から、展示者ではない、隠れディーラーなどが一般客として会場で歩きながら、大麻関連のものを売っていることはありました。
時に大麻ではない怪しい錠剤や(半)合成大麻なども流通しています。 
しかし今年、会場で最も驚かされたのは、THCグミ、ベイプ、ワックス系においては、もはや「裏」ではなく、出展者が普通にブースで販売する光景が見られるようになってきたことです。

オフィシャルで売られるべきではない、THCの「乾燥大麻」「グミ」「ライブレジン」は、パケではなく、デザインされたパッケージで包装されています。
『カンナフェス』のオーガナイザーは、もちろん大麻推進派。
見て見ぬふりです。
残念ながら、フェス2日目の夜、会場内で女性が一人倒れ、救急車と警察が来る事態となりました。
誰が何を投与したのか、何を混ぜたからこうなったかは、こんな場所ですから真相を突き止めるのはほぼ不可能です。
お酒と同じで、自己防衛の意識がなければ深刻な事態に陥る可能性があることを痛感させられました。

15周年を迎える『カンナフェス』で、当初からずっと写真撮影をしているカメラマンと話す機会がありました。
彼がこっそり教えてくれたのは、
「シークレットポリスが、たまに会場内でいて監視をしているよ。自分がカメラマンとして、誰がポリスかを見極める方法を教えてあげようか。それは”靴”を見れば一目瞭然だよ。彼らは一般人を装ってパーカーやジーンズを履いていても、靴だけはどうしようもないほどダサくて古いんだ」
華やかなイベントの裏に潜む、緊張感の一端を垣間見た気がした。

そして、土曜の夜には、展示会主催『カンナフェス』によるVIPパーティーが開催。
これは、出展者と特別招待を受けた人のみが参加できる、関係者限定のクローズドイベントです。
まずはオフィスで登録し、チケットをもらいます。
大きな室内会場にはライブやDJブースや豪華な食事が用意されています。
会場はすでに多くの人と音と煙だらけです。
この中で、各自ビジネスパートナーやブラザー達とTHCと共にコミュニケーション、いわばTHCommunication(THC + Communication)が行われていくのです。
人が介在すること、それが政治外交でもビジネスでも大麻見本市でも、やはり対面してコミュニケーションすることが信用関係の構築につながります。
そこに大麻、THCがあり、産業が活性化しています。
日本ではチェコのように大麻の民主化は可能なのか?あるいは医療大麻の名の下に、管理と独占の強化=独裁化していくのか?
その未来は、私たち次第です。
THCをめぐる選択が、社会のあり方をも映し出しているのかもしれません。
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