「新型コロナウイルスは、メンタルヘルスにどんな影響を与えるの?」
「コロナ禍のストレスの要因が知りたい」
という方のためにお届けします。
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現在、新型コロナウイルスによる様々な影響が続いています。
公衆衛生学的な見地から感染症の拡大や医療現場の逼迫などの問題があり、外出の自粛などによる経済的な問題など、新型コロナウィルスによる悪影響は多様なものです。
では、メンタルへルスについては、どのような影響があるのでしょうか。
メンタルヘルスへの直接的な影響
現時点で『新型コロナウィルス感染症』が、脳や神経、メンタルヘルスに直接的な影響を及ぼすというような、具体的な研究報告はないと思われます。
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メンタルヘルスへの関節的な影響
しかし、実際に感染することがなくても、新型コロナウィルスが私たちのメンタルヘルスに影響を及ぼしている可能性は高いです。
では、具体的にはどのような影響があるのでしょうか?
新型コロナ禍中の人々の不安
2020年4月7日、7都道府県に緊急事態宣言が発令された前後に、3,170名を対象としたパネル調査・インターネット調査が実施されていますので、内容をご紹介いたします。
不安に感じていること | 全体 | 男性 | 女性 |
収入の減少 | 40.4% | 41.7% | 39.2% |
自宅に長くいることによる運動不足 | 39.6% | 33.4% | 46.1% |
なんとなく不安 | 35.4% | 28.7% | 42.5% |
食料、成果必需品の入手 | 31.0% | 27.4% | 34.5% |
規則正しい生活習慣が損なわれること | 18.2% | 12.8% | 24.0% |
病院に通院できないことによる健康状態の悪化 | 11.7% | 9.9% | 13.6% |
子どもの学習時間の減少 | 10.7% | 8.1% | 13.4% |
学校再開後の生活 | 9.4% | 6.9% | 12.0% |
病院に通院できないことによる薬の入手 | 9.2% | 8.8% | 9.7% |
会えないことによる友人・知人・恋人との関係の悪化 | 8.4% | 6.6% | 10.3% |
自宅に長くいることによる情報不足 | 6.2% | 5.4% | 7.0% |
家族関係の悪化 | 6.0% | 4.2% | 7.9% |
遠隔勤務(テレワーク、リモートワーク)の時間の増加 | 4.2% | 4.8% | 3.5% |
ゲームの利用時間増加による健康への悪影響 | 3.7% | 2.6% | 4.9% |
遠隔勤務(テレワーク、リモートワーク)、オンライン学習の増加に伴う情報機器操作のスキル | 2.0% | 1.9% | 2.0% |
まず、不安に関しては、男性で最も高いのが「収入の減少」に対する不安であり(41.7%)、女性は「自宅に長くいることによる運動不足」に対する不安(46.1%)という結果が報告されています。
新型コロナ禍中の人々のストレス
現在、ストレスに感じること | 回答比率 |
自由に外出できないこと(N=2,828) | 65.6% |
外食できないこと(N=2,608) | 52.1% |
楽しみにしているイベントなどが中止になっていること(N=2,245) | 70.0% |
離れて暮らす家族・恋人・パートナーに会えないこと(N=2,245) | 40.5% |
子どもを保育園・幼稚園・学校などに預けられないこと(N=1,061) | 34.9% |
野球や大相撲などのスポーツが延期・中止になっていること(N=2,293) | 30.0% |
会社に通勤できないこと(N=1,343) | 24.8% |
遠隔で仕事をすること(N=1,071) | 24.3% |
遠隔で学校や塾の授業を受けること(N=882) | 20.9% |
東京オリンピックが延期になったこと(N=2,308) | 19.5% |
ストレスについては、65.6%の人が「自由に外出できないこと」をストレス要因として挙げています。
また、19.5%とそこまで多くはないものの「東京オリンピックが延期になったこと」をストレス要因として挙げている人もいました。
新型コロナ禍中の人々の抑うつ・孤独感
抑うつ、孤独感および第一波と第二波の差分の有意性 | 全体 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
抑うつ(3月) | 2.186 | 2.585 | 2.553 | 2.328 | 2.176 | 2.047 | 1.877 |
抑うつ(4月) | 2.083 | 2.511 | 2.436 | 2.205 | 2.069 | 1.954 | 1.789 |
差分の優位性 | p<.001 | 有意差なし | p<.001 | p<.001 | p<.001 | p<.001 | p<.001 |
孤独感(3月) | 2.293 | 2.347 | 2.411 | 2.419 | 2.323 | 2.275 | 2.072 |
孤独感(4月) | 2.285 | 2.385 | 2.403 | 2.399 | 2.345 | 2.242 | 2.063 |
差分の優位性 | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし |
さらに、調査では抑うつ感・孤独感についても検討しています。
その結果、抑鬱感は10代が最も高く、20代・30代・40代・50代・60代と年齢を経るごとに、微減していく傾向が認められました。
孤独感は30代が最も高く、次いで20代、10代、40代、50代、60代と並んでいます。
ただし、これらの調査は2020年の3月・4月に実施されたものであり、その時点で現状のような問題の長期化・深刻化・不透明性は予見できていなかったことを考慮すると、不安・ストレス・抑うつ感・孤独感の傾向も変化している可能性があります。
新型コロナ禍における感情の変化
もう1つ、興味深い研究報告として、Twitterにおけるつぶやきの内容を解析し、どのような感情が情報発信されていたのかを検討したものがあります。
この研究では、Twitterの2020年1月27日から4月30日までのツイートとリツイート、28,547,512件分の内容を分析し、その中から哀・恥・怒・厭・怖・驚・好・昂・安・喜の10種類の感情推定を行っています。
分析の結果、2月27日を境に前半と後半でネット上の感情に変化が認められました。
2月27日より前では「怖」という感情が顕著に認められました。
2月27日以降の後半部分はさらに3つに区分して特徴を抽出した結果、下記のようになりました。
- 第1期(2月27日~3月29日):「怖」が減少した分、相対的に「驚」「昂」「喜」の感情が増加
- 第2期(3月30日~4月5日):「怖」の感情が再び増加し、期間中で最大値まで増加しています。また、「哀」の感情も最大
- 第3期(4月6日~4月30日):「怖」「哀」「驚」の感情の割合が低下し、相対的に「安」「喜」「怒」「恥」という感情の割合が増加
すべての日本人がTwitterを利用しているわけではなく、また何らかの感情があったとしても、それを必ずしもツイートするわけではありません。
しかし、2千万件を超える情報を分析することで「怖」という感情が新型コロナウィルス拡大に伴って変化していったことが分かります。
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新型コロナ禍中のストレスの要因
現在、日本国内だけでなく、世界中で毎日、新型コロナウィルスに関する報道が実施されています。
また、感染拡大を防ぐために外出等の自粛を促す目的でも、大量の情報が政府や地方自治体からも発信されています。
そのため、日本だけでなく世界中の人々が何らかの形で「新型コロナ」というものに情報として接しており、知らない人はいないという状況になっています。
つまり、ウイルスに感染したかどうかではなく「新型コロナに関する情報」というものに「感染」しているといっても過言ではないわけです。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)で分類したストレス要因
ストレスを明確な原因とする精神疾患に心的外傷後ストレス障害(PTSD)というものがあります。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は当初、戦争神経症とよばれていました。
これは、戦時下および戦後に復員した兵士が様々な症状を示したことに起因しています。
その後、戦争以外の原因でも心的外傷後ストレス障害(PTSD)が発症することが判明しました。
発祥の「きっかけ」となる要因には以下のようなものがあります。
- 戦争:死と隣り合わせの恐怖、長時間に及ぶ極度の緊張、拷問、略奪、戦争犯罪など
- 犯罪:性的暴行、強盗、傷害、殺人、殺人未遂など
- 災害:自然災害:台風・・竜巻・落雷・地震など
- 人為災害:火災・公害など
- 予期できぬ災:交通事故、身体機能および内臓器官の重度な病など (DSM-5より引用)
上記の中に「感染症によるパンデミック」というものは明記されていませんが、戦争や災害などのように広範囲に及ぶ影響があり、また世界中の誰も予想していなかったという点で「予期せぬ災」であると捉えることができます。
そして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、以下の3つの状況において、発症する可能性があるとされています。
- 直接経験する
- 他者に起きた出来事を目撃する
- 親族・友人などの身に起きた出来事について聞く(DSM-5より引用)
直接、自分自身が経験したり、目の前で目撃したりすれば、大きな衝撃を受け、それがストレスとなることは容易に想像ができるかと思います。
しかし最新の研究では、自分は直接経験もしていないし、目撃をしたわけではなくても、条件つきで単に「話を聞いた」だけでも発症する可能性があることが判明しています。
日本において、新型コロナウィルスへの累積感染者数は2020年9月27日時点で81,812人となっています。
世界全体でみると2020年9月27日時点で累積感染者数は3260万人、死亡者数は約100万人に達しています。
これだけの感染者がいるということは、自分は感染していなくても、親族や友人の中に症状が出て治療を受けた人がいるという人も多いのではないでしょうか。
そういった身近な人から「新型コロナ体験」の話を聞いたことがストレスとなり、メンタルヘルスに悪影響が出るという可能性は十分にあり得ると考えられます。
また、実際に感染・発症した人の中には、後遺症として心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するというケースも考えられます。
CBRNEで分類したストレス要因
現在、CBRNE(Chemical/化学、Biological/生物、Radiological/放射線物質、Nuclear/核、High-yield explosives/高性能爆発物)という新たなストレス要因カテゴリーも提唱されています(重村・高橋・大江・黒澤 2020)。
中でもCBRNEの「B」の部分である「Biological」の生物学的危機(バイオハザード)は、人為的なものに限定されず、感染症のパンデミックもそれに準じて扱われると定義されています。
つまり、決して他人事ではない範囲に広がっている新型コロナウィルスの影響は、間接的な「伝聞情報」であっても、その情報の発信元となる人と自分との関係が親密であれば、大きなストレスとなります。
とはいえ、耳を塞ぎ、情報を入れないということは、相手が親密な間柄であればあるほど難しく、感染者が増加していることも考慮すると、間接的にジワジワと広がる認知的な影響を完全に防ぐことは困難なのです。
そんな中、新型コロナウィルスとそれを取り巻く心理・メンタルへルスは「現在進行形」であり、たった数ヶ月前のデータでも、既に現状とはミスマッチを起こしている感がいなめません。
しかし、新型コロナウィルスという感染症がフィジカル面だけではなく、メンタル面にも大きな影響を及ぼしていることは確実でしょう。
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