アメリカのヘンプ(産業用大麻)の歴史

(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)

1942年、第二次世界大戦の渦中に、全米の農家は、愛国的義務を果たすために何エーカーものヘンプ(産業用大麻)栽培を奨励されました。

ヘンプは、ロープや靴ひも・パラシュート用の繊維に活用できるため、戦争に不可欠な作物とされたのです。

「勝利のための大麻草」というキャッチフレーズが広く知れ渡りました。

しかし数年後には、連邦政府の記録からキャッチフレーズが削除され、大麻への否定的な姿勢が定着してしまいました。

アメリカにおけるヘンプ栽培の歴史は、17世紀初頭までさかのぼります。

当時から大統領や農民は、大麻を好んで使っていました。

ジョージ・ワシントンがマウント・バーノンの邸宅でヘンプ栽培していたことは有名な話です。

しかし20世紀半ばになると、連邦政府のヘンプへの捉え方が変わり、数十年にわたる禁輸措置が取られるようになりました。

一体、何が起こったのでしょうか?

アメリカで論争を巻き起こしたこの植物の、歴史の決定的瞬間は、いつどんなできごとだったのでしょうか?

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▲ 他の作物と同じく、ヘンプもアメリカ航路開拓で扱われました(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

大麻はどうやってアメリカに渡ったの?

他の作物と同じく、ヘンプもアメリカ航路開拓で扱われました。

「海軍から商船まで、英国のすべての帆船は、船上での帆・ロープ・防水修理のために、数マイル分のヘンプ繊維が必要でした」と、『Alt Pop Repeat』のポップカルチャー史家にして、元栽培者で『Cannabis Grow Bible』の投稿者、マリー・ニコラ氏は言います。

<参考文献>
▶︎ Alt Pop Repeat:英文

植民地化後、イギリス王室は植民地化されたばかりの土地を利用して、貴重なヘンプ貯蔵量を増やそうとしました。

アメリカ大陸では、イギリス人の全入植者は自分の土地で1エーカーのヘンプ栽培を義務付けられていました。

栽培しない場合は、罰金を命じられていました。

「1600年代には、ジェームズタウン(イギリスが北アメリカに建設した最初の永続的植民地)のすべての不動産所有者に、輸出用のヘンプ栽培が勅令で定められました」と、ニコラ氏は付け加えました。

マサチューセッツ州やコネチカット州でも、同様の勅令が施行されるようになりました。

「20世紀後半、ヘンプ栽培は主に禁止されていました。そのため、アメリカにとってヘンプがどれほど重要な植物だったのかを忘れています」と、ニコラ氏は説明します。

「しかし、考えてみれば、イギリス海軍は艦隊の一部を動かすために、1万エーカーの加工ヘンプが必要でした。コンスティテューション(アメリカ海軍最古の現役44門艦)1隻に、12万ポンド(約5.4トン)のヘンプ繊維を必要としていたのです。」

当初からのヘンプ栽培の需要により、1700年代半ばにはアメリカはヘンプ産業を大きく発展・普及させました。

1760年代、アメリカ建国の父ジョージ・ワシントンは「ヘンプはタバコよりも収益性が高く有用である」と予測し、マウント・バーノンの農場を耕し、ヘンプの実を植えました。

最終的に小麦を主な商品作物として落ち着きましたが、積極的に新しいことに取り組むワシントンは、農園の補助作物としてヘンプを栽培しました。

ポトマック川での漁業用に使う網の修理にヘンプを活用しました。

1789年、ワシントンが共和国の初代大統領に就任すると、ヘンプは通貨として機能するようになりました。

「ヘンプは、国の成長を支える植物として珍重され、税金の支払いにも使われました」とニコラ氏は言います。

CBDの原料、大麻(麻)
▲ ヘンプは驚くほどの速さで衰退していきました(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

そもそも、ヘンプはなぜ禁止されたの?

何世紀にも渡り、アメリカの農家の間で珍重・賞賛されてきたヘンプですが、20世紀初頭、ヘンプへの認識が変わります。

驚くほどの速さで衰退していきました。

1930年代にヘンプは禁止薬物として扱われることになりました。

その背景には、製紙・メディア業界の大物たちによる“国民へのヘンプに対する印象操作”があったのです。

新聞王、ウィリアム・ランドルフ・ハースト氏は、全米に新聞社を持ち、木材パルプの製紙会社の株も保有していました。

ハースト氏は、ヘンプ紙をはじめとするヘンプ商品の経済競争を起こし、ヘンプを恐れるべき植物として、自身のメディア帝国を駆使して描き出しました。

また、ハーストの友人にはデュポン社の社員がいました。

石油化学や合成技術の特許を取得し、石油やカーペットの裏地・建材などへの利用を狙っていました。

当時、それらの製品はすべてヘンプ由来でした。

ハーストの組織的中傷は、意図的にヘンプとマリファナ(嗜好用大麻)を混同させ、世間の認識を変えるよう仕向けられました。

その企みは成功し、全米内はパニック状態に陥りました。

新聞記事や『リーファー ・マッドネス』などの映画で麻薬に狂った犯罪者たち(特にメキシコ移民)が街中を暴れ回るというイメージを植え付けました。

大麻(麻)やヘンプを、移民問題や当時の人種差別意識と結びつけ、大衆意識はあっという間にヘンプの違法化へ向かいました。

1937年、ハリー・J・アンスリンガー(連邦麻薬局長官)の指導により、議会は「マリファナ税法」を成立させました。

マリファナという表記も、メキシコ人との関係を想起させるようなものでした。

大麻は品種を問わず危険ドラッグに分類され、最終的に麻薬取締局(DEA)に監視と取締りが委ねられました。

「1937年に禁止された際、大麻の効用は人々によく理解されていたのに、汚名を着せられ、移民や有色人種と結びついていました。
その為、当時の人々にとって薬物乱用防止メッセージとして支持されやすかったのです」

The THC Times』の創設者で元大麻コンサルタントのザック・ボス氏は言います。

<参考文献>
▶︎ The THC Times:英文

その後、第二次世界大戦に必要な繊維が不足したのを機に、1940年代に一時的にヘンプが復活しました。

アメリカ農務省は、農民の栽培意欲の促進のために『勝利のための大麻草』というプロモーション映画を制作しました。

しかし、戦争が終結すると共にキャンペーンは打ち切られ、姿を消しました。

最終的にヘンプは、1970年の規制薬物法に組み込まれることになったのです。

CBDの原料、大麻(麻)を吸引する女性
▲ 現在では、ヘンプの芯を使ってバッズ(花)に火をつけられます(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

日本の法律に基づいた記事はこちら▶︎ CBDオイルは、結局、違法なの?合法なの?

ヘンプの現代的な利用法とは?

ヘンプには、ざっと見ただけでも様々な実用的な商品があります。

「25,000種類の用途がある作物」として知られています。

「陳腐な表現ですが、ヘンプは文字通り”奇跡の植物”です。その多用途性に加え、驚くほど早く、簡単に育ちます。まるで雑草のようです」と、ボス氏は説明します。

「ヘンプは、建築用のレンガやコンクリートブロック、断熱材やカーペットなどにも活用できます。また、プラスチックや綿に代わって衣服に使用できます。紙の代替品にもなります。ヘンプの繊維は、伝統的な紙よりも高品質です。紙を作る際、木からつくるより化学物質が少なくてすみます」と、ボス氏は説明します。

2018年農業法案の成立後、ヘンプ栽培を支持するトレンドが戻ってきました。

2月4日の「ナショナル・ヘンプ・デー」でヘンプの価値が正式に祝われるようになりました。

ヘンプ繊維・ハスク(殻や外皮)・種子・オイル・カンナビノイドを使った新しい活用法が盛んになっています。

スムージーにヘンプシードを振りかける、ヘンプの芯でバッズに火をつけるなど、ヘンプは私たちの身近にあります。

<参考文献>
ウィードマップス(weedmaps)』レスリー・ニックスによるレビュー(2021年6月15日)
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