国際カンナビスビジネス会議『ICBCベルリン B2B 2024』会議編

はじめに

今回は、2024年4月16日〜17日にドイツのベルリンで行われた、欧州で最も有名な大麻(麻、ヘンプ、カンナビス)B2B会議、国際カンナビスビジネス会議ICBCベルリン B2Bを特集します。

<参考文献>
▶︎ 『ICBC』公式サイト

前回の記事はイベント全貌を、今回2回目のテーマは「会議」についての特集です。

3回目は「展示会」側を見ていきます。

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会議コンセプト

会議イベントの目標は「お互いに学び合い、有意義なネットワーキングを促進する」ことです。

タイムリーな情報や教育的な内容を提供し、参加者間の取引の流れを促進することです。

さまざまな業界の焦点について、講演者は各自の業界のシステムにどのように適合するか?についてなどを議論します。

それでは会議に潜入していきましょう。

エストレル・ベルリン・ホテルのエントランスには、すでにビジネスマンたちがあふれていて活気付いています。

その奥をエスカレーターを上がり、いくつもの小さい打ち合わせ室の奥にはイベントのメイン会議室があります。

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『ICBCベルリン 2023』の主なテーマ

去年2023年のテーマからまずは振り返ってみます。

去年は「ドイツとヨーロッパにおける大麻産業の形成」と「海外ブランドのヨーロッパ市場への参入」でした。

米国、カナダはもちろん、欧米以外の企業の進出も多くありました。

これは、ヨーロッパの大麻市場が大きな可能性を秘めており、すでに国際的な関心を集めていることをあらためて示しています。

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2024年の注目トピック

2024年のICBC会議で注目されるトピックは、グローバルビジネスのテクノロジーとマーケティングについてです。

また、開催地ドイツのTHC(テトラヒドロカンナビノール)の非犯罪化や、「カンナビス・ソーシャル・クラブ」設立に関する情報共有などを皮切りに、規制や品質コントロールなどの話が多くありました。

それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。

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ドイツ

ドイツは、ウルグアイ、カナダ、マルタ、ルクセンブルクに続き、2024年4月1日に嗜好用大麻合法化のための国家措置を導入しており、ヨーロッパの中でも大麻の民主化にとって重要な国となっています。

これは、近い将来、他の多くのヨーロッパ諸国の参照モデルとしての可能性があるからです。

ですので、2024年のICBCはとても重要な意味を持ち、専門家たちが会議で議論されるポイントとなっています。

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会議内容

では、いくつかの会議内容に注目していきましょう。

マニフェスト

まずは、朝一にICBCオーガナイザーのアレックス・ロジャース(Alex Rogers)氏のマニフェストが始まります。

1992年にジャック・ヘラー氏と「”いつかこの植物が世界を救うことができる”と、夢を見ていたことが今現実になりつつある」、という思い出話から始まり、大麻アクティビストたちの活動に感謝する想いを伝えます。

その後、2017年にICBCベルリンが開催された経緯や、現在のドイツの大麻合法化の話についてなどで舞台を盛り上げていきました。

ドイツの大麻政策の進化

次の登壇ではLEADER OF THE GERMAN HEMP ASSOCIATION (DHV)のゲオルグ・ウルト(Georg Wurth)氏が、「ドイツの大麻政策の進化(The Evolution Of Germany’s Cannabis Policy)」として、ドイツのカンナビス文化の発展をレポートしてくれます。

大麻合法化の話で何が可能になったか、逆に、政府による様々な細かい規制による懸念点が、欧州に広がる暗雲の可能性も示唆します。

その後、ドイツでのビジネスとして、医療大麻と大麻栽培道具や器具の分野への投資時期である意見などを説明してくれました。

大麻の合法管轄区域から学んだ教訓

世界トップのカンナビスメディアLeafly.のCEO、ヨウコ・ミヤシタ(Yoko Miyashita)氏です。

<参考文献>
▶︎ 『Leafly.』公式サイト

「大麻の合法管轄区域から学んだ教訓(Lessons Learned From Legal Cannabis Jurisdictions)」についてのテーマです。

ミヤシタの名前から察することができるように、アメリカ育ちの日本人である宮下氏は「45%のドイツ人、90%のアメリカ人が大麻合法化に賛成しているこの現状が、やがて私の祖国である日本がそうなってくれれば嬉しい」という言葉からスタートし、そこにいた唯一の日本人である私は、密かに感動しました。

次に、このICBCに代表されるように、皆の倫理観とパートナーシップが、現在のような大麻文化と産業を発展させたことに感謝の意を伝えます。

同時に、この繊細に変化する政府の規制やスティグマ(先入観、固定概念)について戦おうと皆を鼓舞してくれます。

その後Leafly.についてのお話、アメリカの状況を話してくれました。

医療大麻の有用性、そして政府や一般市民すべての人に、カンナビス教育が重要である旨を話してくれました。

これからの未来に大麻のグローバルな合法化が進むことを望み、それが大麻への誤情報や先入観を取り除けるよう、私たちは、教育やリサーチを続け、この大麻草がいかに有用であるかを伝えていこうという強い意志のマニフェストが伝わる内容でした。

公演後、ミヤシタさんに直接お話をさせてもらいました。

私が日本のCBD(カンナビジオール)製品の輸入手続きの大変さやスティグマを説明したところ、さすがに異常な日本の状況にびっくりされている様子でした。

ヨーロッパの大麻産業

「ヨーロッパの大麻産業(The European Cannabis Industry)」についてICBCでは、最も重要な弁護士の一人、国際法律事務所DENTONSの、欧州カンナビスセクターのチーフ、ピーター・ホンベルグ(Peter Homberg)氏の登壇です。

<参考文献>
▶︎ 『DENTONS』公式サイト

ドイツ人のホンベルグ氏は、ドイツの現状をデータと数字ではっきりと示してくれます。

その後、チェコ・スイス・イギリスなど、欧州の様々な国の2024年の状況をスライドで細かく紹介してくれました。

欧州は何十国の主権を持った国々が隣り合っていることにより、大麻産業は切磋琢磨と情報交換がポジティブに競いあっていて、ここに日本と違う優位性があると感じました。

その後、カンナビス・ソーシャル・クラブの細かいルールを説明してくれます。

設立条件・栽培条件・所持や吸引の注意事項、その他社会で適合するために、どれだけ大変な書類手続きやアプローチが必要かを説明してくれました。

ドイツにおける医療用大麻の栽培

「ドイツにおける医療用大麻の栽培(Cultivation of Medical Cannabis in Germany)」では、ドイツの医療大麻についてフォーカスします。

嗜好用大麻と医療用大麻を識別する説明や、近未来の双方の発展を、カナダ、アメリカとの事例を挙げながらドイツの未来を語ります。

現在、ドイツでの医者たちに医療大麻を推奨する際、スティグマやコンサバな現状などがあるようですが、今後数年の医療大麻と嗜好用大麻の発展は、確実に現状を変えるだろうとのことでした。

年々、規制も緩和されていることにより、EU外からEU内に会社を設立する会社もできているようです。

もちろん、GMP認証を筆頭に、より品質や濃度などのデータなどがしっかりと規制されていることがさらに重要になってきます。

そのためにも、例えばAIでEEG(脳波)データなどを分析し、現代の科学技術が、産業の倫理を証明する助けになっています。

カンナビノイドが数千年前から植物にあり、これが私たちの民間医療や助けになってきたことは確かなことですが、現在の医療に適合するようにするには、様々な努力が必要だということでした。

新しい食品 EUアップデート

「新しい食品 EUアップデート(Novel Food EU Update)」をテーマとしたディスカッションでは、食品中のカンナビノイドに関する規制の導入と執行について考察し、EU加盟国が採用している複雑で多様なアプローチを解明していきます。

地域の規制と包括的なEUガイドラインの間の複雑さを共有し、EU内の格差にフォーカスしていきます。

さまざまな国の視点から、EU内での調和と認可の試みまで、健康強調表示、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)や4HCBD などの新規カンナビノイド、不適切なマーケティングに関する進行中の副次的課題を含め、ヘンプ食品原料とカンナビノイドの新たな食品ステータスを確立するための課題が話されました。

カンナビス科学の将来

「カンナビス科学の将来(Future Scientific Horizons)」という題では、カンナビノイドベースの医薬品の研究開発について話していきます。

議論されたポイントは、医療大麻を、現状の医療スタンダードの基準内で成り立つのか?それとも医療基準を拡大するべきか?という議論です。
TRADING FBのフランチェスコ・バッフーノ(Francesco Bafunno)氏は「CBDとTHCの二つの自然化合物について研究してきましたが、いまだマイナーカンナビノイドについてはまだまだ研究段階です。さらに、フラボノイドやテルペノイド、さらには発酵段階での自然化合物の変化など研究しなければいけないことがたくさんあります」と述べ、今後このエリアが確実に拡大する、と強調します。

DSM-FIRMENICHのアタナシア・カンリ(Athanasia Kanli)氏は、「大麻を医療基準に適応するにあたり、更なるGMPなどに代表されるような基準、品質とその信用をさらに求められていく」と言います。

RESEARCH NATURE INSTITUTEのボジダール・ラディシッチ(Božidar Radišic)氏は、下記のように述べました。

・医学は既存の薬に頼り、医療大麻へのアプローチが足りません。私たちは医療の現場で各患者が各々の医療大麻の処方にフォローできるように努力している
・ドクターに供給されるべきアプリケーションメソッド、プロトコル、正しい処方量が教えられるべきである
・患者各自のエンドカイナビノイドシステムがレセプターに反応するレベルが違います。つまり、個々の患者によって処方が変わるのです。そしてフラボノイド、テルペノイド、アミノ酸、プロテインなど、自然の植物を一貫して均一にすることはできません

今後の発展には、Cannabiology(大麻学)が医療の大学機関などにつくられ、プロの育成が必要であると述べます。

スティグマ(固定概念や先入観)についても話されました。

日本だけではなく、欧州の事業者にも、未だ大麻への大きなスティグマがあるようです。

それは、ファイナンシャルサイドにも影響してきます。

しかしそれを、より薬用として機能させ、社会的信用を持たせることにより、そのイメージは変わってきます。

そのためにも法の規制が変わっていくことが関係しています。

世界中で、大麻への禁止政策の衰退と国際的な医療大麻産業の台頭のおかげで、大麻研究や医薬品の需要、カンナビノイドの医薬品研究と製品開発の将来について議論することはますます重要になってきています。

世界の大麻産業 vs. 規制当局

「世界の大麻産業 vs. 規制当局(The Global Cannabis Industry vs. The Regulators)」の講演テーマでは、新興大麻産業が直面する規制課題についての話がありました。

過去の世界的な麻薬戦争の残響が障害となり、業界の成長と規制対応との相互作用についての情報交換が行われました。

タイの大麻法案や、タイにある6,000ものディスペンサリーの現状など、発展途上国や販売市場において、細分化されたボトルネックや、法的取り組みに対応する話などがありました。

また、コカリーフ(コカインの原料)、モロッコのハシシなどの、薬草の伝統的な使用方法、民間療法についても話されました。

ヨーロッパも徐々に大麻以外の薬草の合法化への兆候が見られ、今年施行されたドイツの大麻の非合法化から、他のEU諸国にドミノ式に採用され、やがて他の植物規制に関係してていくだろうとのことでした。

従来の産業 – 食品、薬、消費者主義への移行

「従来の産業 – 食品、薬、消費者主義への移行(Conventional Industries – Shifting to Food, Pharma and Consumerism)」のパネルでは、農業、医薬品、急速に変化する日用消費財における商品としての大麻の出現を取り巻く多面的かつ複雑な関係についての話が提供されました。

実質的な課題を検討し、進化する農業慣行、医薬品アプローチの微妙な変化、そしてINTERNATIONAL RELATIONS, BOVEDAのベンジャミン・パトック(Benjamin Patock)氏が語る「大麻のコモディティ化することにより、消費者がよりよい選択ができる消費者モデルマーケット」を基とした産業形成について知る機会となりました。

ATLAS GLOBAL BRANDSのバーニー・ヨング(Bernie Yeung)氏は、カナダの規制緩和と共に、医療大麻などの産業形成は総じて大きくなってきたが、産業の急激な成長と逆に滞りがあるとも述べました。

そのためには各セグメントで我慢が必要だが、消費者の態度や期待に応えられる仕事ができれば、更なる発展の可能性があるとの期待をしています。

それに反してLINNEAのスザンヌ・キャスパー(Susanne Caspar)氏は、現在ドイツのトレンにも成りかねない、医療大麻へリーチできる処方箋が1€で取得できる状況に懸念を表しています。

<参考文献>
▶︎ 『LINNEA』公式サイト

つまり、大麻は薬のようであるが、コモディティではないと意味しています。

LITTLE GREEN PHARMAのポール・ロング(Paul Long)氏は、産業としては、一番の競争対象は、大麻への不信などからまったく摂らない人であり、そのためには知識がある消費者をつくるべきだと言います。

毎回パネルディスカッションの後にはQ&Aコーナーがあり、その中でCBDのディスアドバンテージについての質問がありました。

返答としては、CBDオイルに使われるキャノーラオイルの問題点、世界中で何にでもCBDオイル入れるビジネス(ハンバーガーやコーヒーに入れるなど)について問題視していました。

世界的な大麻ブランドの出現

この記事では最後となるパネルディスカッション、「世界的な大麻ブランドの出現(The Emergence of Global Cannabis Brands)」では世界的なブランドの出現に焦点を当てて話されました。

また、ヨーロッパ発と海外からの参入状況についても情報共有がされました。

各登壇者の、世界規模でのブランドの隆盛と成功に貢献できた要因なども教えてもらいました。

TOKYO SMOKEのローン・ガートナー(Lorne Gertner)氏は、グローバルブランドとして成功するために、グローバルなコミュニティーを作ること、教育システムを構築することを重視した経緯を説明しました。

<参考文献>
▶︎ 『TOKYO SMOKE』公式サイト

また、大麻の品種は、その品種ブランドと信用性を担保するためには重要であり、そのために弊社は最も大きな品種のライブラリーを持ってると教えてくれました。

NEW HOLLAND GROUPのジェイミー・ピアソン(Jamie Pearson)氏は、メディカルライセンス取得の重要性を指摘しました。

医療用大麻はヨーロッパでは医薬品とみなされているため、すべての製品は生産国と欧州連合当局の両方で完全なGMPおよびISO認証を取得する必要があります。

EU域外の生産国の企業は、自国では完全にGMPに準拠した製品をすでに栽培していますが、輸入に必要な欧州でのGMP認証を取得できていません。

これらの承認を取得したとしても、製品の出荷を予定しているすべての国から輸入許可を取得する必要があります。

また量や配合について、どのカテゴリーでどのくらいの量を処方できるか(例えばCBDとTHCの配合率)が、マーケットの成功の鍵に繋がっていると言います。

そして、ブランドの声をターゲットにしっかり届けることが重要であると述べました。

つまり、大麻やプロダクトについて、客と話すのではなく、客に話しかけることで「ブランドとプロダクトを混同しないこと」がポイントだと述べました。

プロダクトがどこから来ているかなど、透明性や倫理感はブランドには重要で、そのために、「ダイレクトマーケティングストラテジー」と「バッズテンダーストラテジー」(バーテンダーではなく、バッズのスペシャリスト、”バッズテンダー”)の二つを大切にしているようで、これがゲートキーパーだと言います。

そのようなプロのアドバイスと嗜好用にも品種を多数用意し、テイストや効果の幅をそろえるべきだと言います。

現代は、カンナビスクラブをモデルにする様に、チームブランドが作れる時代です。

そこで、様々な情報交換や教養レベルを向上していける利点を生かすべきであるとアドバイスをくれました。

THE HIGHER CIRCLEのアレックス・プランスキー(Alex Pransky)氏は、カリフォルニアでは、各メーカーのパッケージデザイン内容が、ごちゃごちゃうるさいものが多く、商品が品種やどこブランドから来たか、などを気にする人は少なかったので、ブランディングには時間はかかったようでした。

カリフォルニアでブランドを広げるには、サプライチェーンや新しいマーケットを知ること、単純に総合的なスキルのレベルを上げること、マーケットのアルゴリズムをリサーチし、ビジネスモデルを確立すること、また、誰とビジネスを進めるか?が製品の品質以外にも必要なことだと教えてくれました。

MEDOCANN GROUPのナルキス・テスラー(Narkis Tessler)氏は、デザインストラテジーについても教えてくれました。

自国のイスラエルにおいて、大麻のパッケージにPTSD(心的外傷後ストレス障害)とのイメージを繋げられたことが成功ポイントだったと語ります。

メディカルカンナビスを、メディカル”カボドス”(ヘブライ語でソーセージという意味)として遠隔的に広めたことも功を奏したとのストーリーは面白かったです。

しかし、大麻関係の宣伝広告などは規制によりできないので、教育的要素(ライセンス、規制、医者)を持った内容を、ポッドキャストで紹介し、いくつかのブランドと総合的にエコシステムをつくったと教えてくれました。

かなり割愛してきましたが、とりあえずがこの記事での報告の以上になります。

市場の傾向、規制上の考慮事項、世界の大麻ブランドの現在の状況など、進化する業界の複雑さをとても端的に教えてもらえる内容だったと思います。

このようなリアルで貴重な情報はとても価値があり、すべてではありませんが会議に参加でき、勉強ができたことをとても嬉しく思います。

それでは、次の記事、「国際カンナビスビジネス会議「ICBCベルリン B2B 2024」展示会編を見ていきましょう。

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