はじめに
毎年、激しく目まぐるしく変化する大麻(麻・ヘンプ)業界。
大麻に対する法律や規制、テクノロジーの発展や技術のアップデート、新しい成分の発見や製品開発など、事業者やエキスパートも、そのスピードに戸惑っていることでしょう。
さらに、世界各国で法律や販売条件、文化と嗜好も違い、それらに対応する必要があります。
このため、大麻の専門家たちは、情報交換や横のつながりを構築し、最新の状況などをシェアしています。
このように、激しく変化する時代においては、いかに持続的に大麻産業に参加していけるかが、現代大麻産業の鍵となっています。
今回、CBDライブラリーは、ヨーロッパ内で随一の国際的な大麻協会『欧州産業用大麻協会(EIHA) 』の会合を取材する招待をいただきました。
本記事では、ヨーロッパで唯一の『欧州産業用大麻協会』の会合がどういったものかを少しでもお伝えするとともに「大麻界隈の協会」についても注目していきたいと思います。
大麻の国際見本市やカンナビスの国際会議とは異なる側面についても紹介できればと思います。
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欧州産業用大麻協会(EIHA)
『欧州産業用大麻協会(European Industrial Hemp Association) 』、略して『EIHA』は、産業用大麻の分野で唯一の、欧州会員で組織された協会です。
▶︎ 『EIHA』公式サイト
2005年に正式に設立され、ブリュッセル(ベルギー)とケルン(ドイツ)にオフィスを構えています。
2024年7月現在、EU25カ国、総会員数は200名を超えるメンバーにより構成。
その多くは、大麻の繊維・葉・種子・カンナビノイドを扱う大麻農家、加工業者、製造業者、トレーダー、加工道具メーカー、研究機関や大学の研究員など。
これらのメンバーは、大麻の種子から商品棚に至るまでのサプライチェーン全体を代表し、共通の利益を守るために活動しています。
いずれも、厳格な条件をクリアした企業や各国を代表する産業用大麻協会です。
彼らの任務の大切な一つは、EUおよび国際的な政策立案において、大麻の多様な用途(建設資材、繊維、化粧品、飼料、食品、サプリメントなど)を保護、推進することです。
そういった意味では『EIHA』は大麻協会の中で、欧州で最も力のある協会と言えるでしょう。
『EIHA』の仕事は多岐に渡ります。
EUの大麻抽出物、新規食品規制、飼料および食品のTHC制限、大麻素材のライフサイクル評価、CO2の影響、環境問題、化粧品などの品質管理など、様々なジャンルに仕事の範囲は及びます。
また、幅広い横軸的な知見や活動範囲に対し、縦軸となる一般消費者から政府と連携して活動など、幅広い層の人と、責任ある仕事を果たしています。
協会メンバーは大麻関連政策を常に注視し、さまざまな分野の能力にわたって正確で信頼できる情報を共有しています。
『EIHA』については、下記のYouTube公式チャンネルの動画を見てもらうとイメージが伝わると思います。
▶︎ Hemp: how can we unlock its full potential?(『EIHA』YouTube公式チャンネル)
▶︎ Hemp: how can we achieve a Green Recovery?(『EIHA』YouTube公式チャンネル)
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EIHA2024
『EIHA』は、前述したベルギーとドイツに本拠地を置き、毎年の国際会議、研究発表などの会合を行なっています。
2024年6月5日〜7日、21回目となる今回は、2つの本拠地から場所を移し、隣国チェコ共和国のプラハで開催されることとなりました。
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21st EIHAカンファレンス&エクスペリエンス・ヘンプ・プラハ
▶︎ 『EIHAカンファレンス』公式サイト
今まで、2カ国でしか行われていなかった『EIHA』が、プラハへの進出を決めた背景として、チェコ政府の大麻規制の枠組みが、他のEU加盟国よりも寛大で現実的な傾向があるためです。
戦略的都市として、重要な役割を果たす可能性を考えての決定であるとしています。
また、物価の面でもリーズナブルに活動ができることもあったでしょう。
今回も、数十カ国から数百名が集まり、ヨーロッパを中心とした大麻産業の国別レポート、農業機械、食品、建材、バイオ複合素材、医療利用などの様々な分野からの発表がありました。
『EIHA』のように、年1回の発表をオープンにしている会議は、協会の会員でなくても、大麻関連の事業者で、参加費を支払えば参加することができます。
ですので、今回の『EIHA』プラハ会議でも、一部の参加者は会議で勉強するためや、協会関係者やヘンプ事業者との関係構築のために来場しています。
会議参加で期待できることをサイトから引用します。
1.最先端の研究:繊維、建築材料、バイオポリマーから大麻食品、栄養、CBD など、大麻のさまざまな用途に関する最新の知見が得られる
2.専門家による講演:著名な業界リーダー、研究者、政策立案者が知識と経験を共有できる
3.ネットワーキング:世界中の志を同じくする人々とつながり、コラボレーション、ビジネス、パートナーシップを促進できる
4.エキスポ:大麻関連のさまざまな製品とサービスを取り揃えたインタラクティブな製品を探索しながら、貴重なビジネス関係を構築できる
産業用大麻は、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)などの大麻草の雌花に含まれる成分よりも、植物の種と茎などの部位によりフォーカスした業界を意味します。
麻の実からオイルやパワーフードとして食したり、茎の繊維から生地や燃料などをつくったりします。
環境問題や健康問題など、様々な社会課題に寄与する産業用大麻は、社会事業とも言える大きなプラットフォームを動かせる可能性を持っています。
以上のことから、協会は業界や社会に貢献する活動を通して「大麻の協会」がこのような大きなプラットフォームを支えており、会議に参加することより、大麻業界にとって重要な政府や法律に対して変革を起こしたり、いち早い状況確認ができるのです。
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今、「協会」がアツい
「協会」とは、公的な厳格な審査や基準をクリアした、特定産業に従事する事業者たちで構成される非営利団体です。
協会は、業界の発展と社会課題を解決する目的を存在意義として設立されています。
しかし、協会を運営するための安定的な収入である会費を集めることは容易ではありません。
そのため、協会を設立する場合は「誰が」「どのような目的で」「どのような事業を行うのか」という協会の存在意義をしっかりと掲げることで多くの会員が参加できるような仕組みをつくり上げることが最も重要です。
日本の産業用大麻関連の協会としては、下記が知られています。
国内だけではなく、欧州、もしくは世界的に協会同士の関係を構築しながら、大麻を通じてより良い環境と社会変革を創っていく、という理念をに基づいてサポートし合っています。
『EIHA』は、2024年9月24日『一般社団法人日本ヘンプ協会』が開催する『JIHA国際会議』にもオンラインにて参加予定です。
▶︎ 第1回東京国際ヘンプカンファレンス
以上、本記事では、大麻関連の協会がどういったものか、また『EIHA』の概要を紹介しました。
次編では、会議の内容について紹介して参ります。
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