(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)
大麻(麻)への理解が進むにつれて、カンナビノイドについての知識も深まってきます。
THC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)が脚光を浴びている一方で、CBG(カンナビゲロール)のような、あまり知られていないカンナビノイドも科学者や消費者の関心を集め始めています。
▶︎「THC(テトラヒドロカンナビノール)とは?」を丸ごと解説
▶︎「CBD(カンナビジオール)とは?」を丸ごと解説
▶︎「CBG(カンナビゲロール)とは?」を丸ごと解説
▶︎「カンナビノイドとは?」を丸ごと解説
動物を用いた前臨床試験では、CBGとCBDは、ともに多くの有益な特性を持つことが示唆されています。
いずれも酩酊作用(中毒性)のないカンナビノイドであり、抗酸化作用・神経保護作用・鎮痛作用などの効能を持つ可能性があります。
また、CBDとCBGを併用することで強力な抗炎症作用が発揮され、神経炎症を治療できる可能性があります。
▶︎ ラットCTX-TNA2アストロサイトおよび孤立した大脳皮質におけるカンナビジオールおよびカンナビゲロールの抗酸化作用および神経保護作用について(International Journal of Molecular Sciences :英文)
▶︎ 2つの非向精神性カンナビノイドの組み合わせが神経炎症に対抗できるか?カンナビゲロールに関連するカンナビジオールの有効性(medicina :英文)
▶︎CBDとCBGを併用することで強力な抗炎症作用が発揮され、神経炎症を治療できる可能性があります(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)
しかし、この2つのカンナビノイドは、一体どこまで似ているのでしょうか?
深く掘り下げていくと、両者には異なる点が多いことがわかります。
この記事ではCBGとCBDの違いについて解説します。
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CBG(カンナビゲロール)とは?
CBGは「Cannabigerol(カンナビゲロール)」の略です。
カンナビゲロールは、大麻に含まれる120種類以上のカンナビノイドのひとつで、1964年に初めて単離(発見)されました。
CBGの研究はまだ前臨床段階にありますが、これまでの研究により、その治療効果に大きな期待が寄せられています。
CBGは、THCを上回る鎮痛作用を持つ可能性がありますが、THCのような酩酊作用はありません。
また、CBGには抗がん作用や抗うつ作用・抗菌効果があることを示唆する証拠もあります。
カンナビゲロール酸(CBGA)は、有名なカンナビノイドすべての元となる前駆体です。
大麻が成長すると、CBGAは「THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)」、「CBDA(カンナビジオール)」、「CBCA(カンナビクロメン酸)」という3つの主要なカンナビノイド酸へと、酵素によって変換されます。
CBGAは、脱炭酸してCBGとなることで、体内のカンナビノイド受容体と相互作用できるようになります。
ある研究によると、CBGは、CB1受容体とCB2受容体の両方に部分的に結合することが示唆されています。
また、CBGは、痛みや炎症・熱感受性に影響を与える受容体を刺激する可能性もあります。
▶︎ある研究によると、CBGは、CB1受容体とCB2受容体の両方に部分的に結合することが示唆されています
通常、ほとんどの大麻においてCBG濃度は低いですが、品種改良の結果、CBGを多く含む株が生まれています。
CBG優位の株は「タイプIV」の大麻と呼ばれます。
このようなCBGを多く含む大麻は、消費者向けのヘンプ(産業用大麻)や大麻の市場ではまだ一般的ではないものの、比較的大規模に栽培されています。
原料のCBG濃度が高ければ、簡単に治療用に抽出できます。
▶︎ Cannabis sativa L.における化学的表現型の継承(II)。カンナビゲロール優勢植物(Springerlink:英文)
▶︎ Cannabis sativa Lの成長過程におけるカンナビノイドの蓄積とケモタイプの発現の時間変化(Euphytica:英文)
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CBDとは?
CBDはカンナビジオールの略で「タイプII(THC・CBDバランス型)」および「タイプIII(CBD優位型)」の大麻やヘンプに高濃度で含まれるカンナビノイドです。
CBDは、1930年代後半に大麻から初めて単離された後、しばらく放置されていましたが、70年代になって、その抗けいれん作用に注目が集まりました。
▶︎CBDはカンナビジオールの略で、大麻に含まれる酩酊作用のない物質です(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)
その後、精製したCBDが重度の小児てんかんの治療に有効であることが、研究により確認されました。
また、CBDには、抗炎症・鎮痛・抗不安・吐き気止め・鎮静などの効果も期待されています。
近年、CBDが注目されているのは、その治療効果の幅広さにあります。
CBDは、不安・被害妄想・認知機能の低下など、THCの好ましくない特性を軽減するのに役立つ可能性があります。
ある研究によると、CBDとTHCを併用すると、どちらか一方だけを使用した場合に比べて、より大きな治療効果が得られることが示唆されています。
この相乗効果は「アントラージュ効果」と呼ばれています。
CBDは、身体のさまざまな代謝経路を通じてエンド・カンナビノイド・システムに作用します。
CBDは、CB1とCB2の両方の受容体に弱く結合しますが、エンド・カンナビノイド・システムに含まれる、他のいくつかの受容体にも結合します。
しかし、CBDの体内での作用メカニズムはまだ完全には解明されていません。
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CBG(カンナビゲロール)とCBDの違いは?
いくつかの重要な点において、CBGとCBDには異なる特徴があります。
分子構造
CBGとCBDは分子構造が違います。
ここで言う分子構造とは、カンナビノイドを構成する水素原子・炭素原子・酸素原子の数と配置のことです。
分子構造が違うということは、立体形状が違うことを意味します。
形状によって体内のカンナビノイド受容体との結合の仕方が異なるので、体への作用もそれぞれ独特なものとなります。
なお、カンナビノイドの分子構造は、バイオアベイラビリティ(生体利用率)や水への溶解度を決定するのにも役立ちます。
薬理作用
CBDとCBGは、同じ受容体に対して異なる作用を持ちます。
たとえば『Psychopharmacology』誌に掲載された2011年の論文では、5-HT1Aセロトニン受容体におけるCBDとCBGの作用の違いを比較しています。
この研究では、CBDは、5-HT1A受容体に結合してアゴニスト(活性化剤)として作用することで吐き気止め効果を発揮しました。
一方、CBGは、5-HT1A受容体のアンタゴニスト(阻害剤)として作用します。
先にCBGを摂取するとCBDの吐き気止め効果が阻害されたことから、CBGとCBDは同じ受容体に結合するが、相反する作用を持つことが示唆されました。
食欲への効果
CBGがCBDと異なるもう一つの重要な点は、CBGには食欲を刺激する効果があることです。
ある研究では、CBGを投与されたラットは、通常の2倍以上の餌を食べるようになりました。
別の研究では、CBGはラットの摂食行動に変化をもたらさなかった一方で、CBDを投与されたラットは総摂食量が明らかに減少しました。
▶︎ Cannabigerolは、飽食状態のラットにおいて、新規かつ忍容性の高い食欲増進剤である(Psychopharmacology:英文)
▶︎ カンナビノールとカンナビジオールがラットの摂食パターンに相反する作用を及ぼすことについて(Psychopharmacology:英文)
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CBGの治療効果とは?
ヒトにおけるCBGの効果を検証した臨床試験はありませんが、動物を用いた前臨床試験では、その潜在的な治療効果について、いくつかの知見が得られています。
CBGは、酩酊をもたらすことなく、独自の薬効によって以下のような症状に役立つ可能性があります。
ただし、これにはもちろん、ヒトにおける多くの検証が必要です。
食欲増進
先述の通り、CBGはラットの食欲を顕著に増進することが研究で明らかになっています。
2017年のとある研究では、この知見の治療上の意義が強調されており、悪液質(がんなどの疾患による栄養不良状態)や食欲不振、衰弱などの症状に対し、精製されたCBGが新たな治療の選択肢になる可能性があると指摘しています。
THCとは異なり、CBGは望ましくない精神作用を伴うことなく、空腹感を促すことができます。
MRSA細菌感染
CBGは強力な抗生物質としても、威力を発揮します。
ある研究で、MRSAに対する抗菌作用を18種類のカンナビノイドについて検証したところ、CBGはこの中で最も優れた抗菌作用を示し、強力な抗生物質であるバンコマイシンと同等の効果を示しました。
がん
CBGは、異常な細胞増殖を抑制することで、抗がん作用を示します。
マウスの研究で、CBGには、皮膚のメラノーマ細胞(がん化した色素細胞)の形成を阻害する抗腫瘍特性があることが観察されています。
CBGへの関心が高まっている昨今では、研究室やお近くのディスペンサリー店頭などで、より多くの情報が得られることでしょう。
『ウィードマップス(weedmaps)』アディ・レイ博士によるレビュー(2021年7月19日)
※当サイトでご紹介する商品は、医薬品ではありません。また、病気の診断、治療、予防を目的としたものでもありません。
※記事はアメリカでの法律、
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