この記事では、CBD商品のOEM製造先の選び方、そして逆にOEM製造先から良い取引先と思ってもらえるポイントをわかりやすく解説します。
OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略称で、日本語では「自社ブランド品の製造を請け負うメーカー」の意味で使われます。
OEM製造先に商品づくりを依頼すれば、CBDの製造設備や製造に関する専門知識を持たなくても自社ブランドを立ち上げることができます。
したがって、CBDブランドに限らず、多くの企業がOEMで自社商品を展開していますが(Apple社のiPhoneもOEM製造です)、OEM製造にしたからといって必ず成功するわけではありません。
これからCBDブランドの立ち上げを検討している方、あるいはOEM製造先を切り替えたい方は、ぜひご覧ください。
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OEM製造で知っておきたい基礎知識
ここでは、OEM製造先を探す前に、大前提として知っておきたい基礎知識をまとめました。
「すでに知っているよ!」という方は、次のチャプターへ進んでください。
OEM製造のメリット
そもそもOEM製造のメリットには、下記があげられます。
低コストで製造できる
OEM製造先に依頼すれば、自社で何千万〜何億円かけて製造設備を持つ必要がありません。
またOEM製造先は、大量生産によるスケールメリットを活かして、数量あたりの製造コストを抑えることも可能です。
スピーディに製造できる
OEM製造先は、さまざまな依頼先を通じて多種多様な商品製造をしています。
その過程で得たノウハウやネットワークを生産ラインの効率化に活かし、製造に要するリードタイムを短縮できます。
次々に新たな成分が生まれ、処方のトレンドも移り変わるCBD業界において、迅速に商品を投入する武器につながります。
高品質な商品を製造できる
OEM先がこれまで培った専門的な技術や製造設備を活用できるため、高品質な商品を生産できます。
品質や安全に関する認証を取得していれば、さらに品質面は担保され、対外的にもアピールできます。
OEMとホワイトラベルの違い
OEM製造先を探していると「ホワイトラベル」という言葉に出会う場合があります。
製造設備を持たなくても、自社ブランドを立ち上げることができるという点では、OEMとほぼ同じ概念。
しかし厳密には、他社が製造した製品に、自社のロゴやデザインを入れた商品を指します。
当然ながら、オーダーメイドのOEM製造よりも、さらに低コスト・スピーディに自社ブランドを立ち上げられます。
逆に、処方やデザインはこだわりたい場合は、OEM製造が適しています。
あくまで一般論となりますが、OEMとホワイトラベルの違いを比較表にまとめてみました。
OEM | ホワイトラベル | |
商品仕様 | 原料、剤形、濃度、容量、フレーバー、容器などを相談しながら決定 | あらかじめ用意された商品メニューから選択 |
発注ロット(最低発注量の単位) | 数百個〜 | 数十個 |
コスト | 50万円〜 | 10万円〜 |
原価率 | 20%〜 | 50%〜 |
納期 | 数ヶ月 | 数週間 |
試作 | あり | なし |
こんな方におすすめ | こだわりのオリジナル処方で自社ブランドを立ち上げたい | 低コスト・スピーディに自社ブランドを立ち上げたい |
こんな方が、OEM製造を選んでいます
・自社で製造設備や技術を持っていないが、自社ブランドを展開したい方
・開発コストや時間がないため、小ロットで試験的にブランドを始めたい方
・つくりたい商品イメージはあるが、品質や安全性を担保したい方
・CBDブランドを立ち上げたいが、どのように商品設計や処方をすれば良いかわからない方
いずれにしても、OEM製造先に商品づくりを依頼すれば、CBDの製造設備や製造に関する専門知識を持たなくても、自社ブランドを立ち上げることができます。
各ブランドを裏で支える黒子的な存在なので、世間的に名は知られていなくても、私たちが買うCBD商品の多くには、OEMメーカーが関わっているのです。
OEM製造の流れ
依頼するOEM製造先ごとに異なりますが、おおよそは下記の流れとなります。
相談
依頼者が目指すコンセプトや顧客体験・機能性・価格帯に基づき、具体的な原料・剤形・濃度・容量・フレーバー・容器などの要件をすり合わせます。
商品設計
処方や生産工程などの商品設計を確定します。
試作
商品設計にしたがって、試作品を開発し、使用感をチェック。試作ごとに指摘や改善を複数回重ねるのが一般的です。
見積
試作品に問題がなければ、納期・価格などの条件に基づき、OEM製造先から見積もりが提示されます。
配送方法やパッケージやラベルは、依頼主とOEM製造先どちらが用意するか?などの業務範囲も協議します。
発注
見積もり内容に合意が得られれば、契約書を締結し、発注します。
量産
契約に基づいて、量産に入ります。具体的には、原料の調達・製造・梱包などの工程を経て、製品が完成します。
検査
最終製品のパッケージ・容器・商品の外観や、機能・安全性が品質基準に適合しているか?検査します。検査の結果、問題ないと判断されれば、出荷準備に移ります。
出荷
商品の包装や出荷書類作成を経て、出荷されます。
ブラッシュアップ
つくりっぱなしで終わらせず、売れ行きやCPA(顧客獲得単価)・F2転換率(2回目購入率)・お客さまの声に応じて、商品の改善や新商品開発についても協議。
マーケットに適合する状態まで(PMF)、継続的な関係を構築します。
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CBD商品のOEM製造先の選び方と注意点
CBD商品は、大麻(麻)由来ということもあり、日本特有の先入観やイメージはまだまだ根強い状況です。
素材としての取り扱いも難しく、適切なOEM製造先を選ぶことは非常に重要です。
OEM製造先選びで失敗しないためにも、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。
対応範囲
CBD商品の取り扱い可否
多くのCBDブランドの第一の壁となるのが、まずこのハードル。
前述した先入観やイメージ、取り扱いの難しさから、そもそもCBD商品を取り扱えるOEM製造先の絶対数が少ないのです。
下記のCBD商品の取り扱い可否は、OEM先選びの絶対条件となります。
・CBDという成分に理解・知識があるだけでなく、関連法令(大麻取締法・麻向法・薬機法・景表法・食品衛生法・食品表示法)を熟知している
・CBD商品の生産ラインや製造工程、品質管理体制が整備されている
製造可能な剤形
剤形とは、下記に代表されるCBD商品の形状を指します。
例)オイル・ベイプジュース・カートリッジ・パウダー・ワックス・グミ・キャンディー・クッキー・チョコレート・タブレット・カプセル(ソフト/ハード)・ウォーター・ドリンク・バーム・ボディオイル・セラム・ローション・フェイスマスク
OEM製造先によって、製造できる剤形や得意/不得意が異なり、剤形によっては、専門的な生産設備や技術が必要になることがあります。
自社がつくりたい剤形に対応しているかどうか?も、チェックポイントの一つです。
なお、法令上、剤形に応じてOEM製造先が適切な行政許可を得ているか?もご確認ください。
オイル・ソフトカプセル | 食用油脂製造業 |
パウダー・ハードカプセル・タブレット | 粉末食品製造業 |
ウォーター・ドリンク | 清涼飲料水製造業 |
グミ・キャンディー・クッキー・チョコレート | 菓子製造業 |
バーム・ボディオイル・セラム・ローション・フェイスマスク | 化粧品製造業・化粧品製造販売業 |
OEM製造先に依頼すれば、これらの許可(設備投資)を要することなく、CBDブランドを立ち上げられるのもメリットですね。
小ロット対応
個人や小規模な事業者がCBDブランドを立ち上げる際、資金や在庫リスクがハードルです。
したがって、小ロットでの発注にも対応してもらえるかどうか?は、OEM製造先を選ぶ上で優先順位の高い基準になります。
小ロット対応できるOEM製造先が見つかれば、負担の少ない小ロットでリリースし、お客さまの声を商品の改善や新商品開発にフィードバックしていきながらブランドを育てていくこともできます、
生産能力
発注量やOEM製造先の生産ラインの稼働状況などによって納期が変わることがあります。
事前に1日あたりの生産能力や稼働率を確認し、納期の調整ができるかどうか?を確認することが必要です。
もちろん、新商品の場合、販売数を予測することは難しいですが、品質と稼働率の高い都市圏のOEM製造先は、人気で奪い合いになることもあります
OEM製造先の生産能力や稼働余地が少なかったために、予定通りに納品されず、欠品状態が続くとどうなるでしょう?
自社の機会損失というだけでなく、お客さまや卸先の信頼を損ねることにもなります。
原料調達ネットワーク
CBDに限らず、OEM製造先の原料の調達ネットワークは、商品設計の幅や原価、納品スピードに関わってきます。
特に最近は、原料・容器ともに価格が高騰しており、入手しづらい状況もあります。
安く調達できるOEM製造先が見つかると、価格面で優位性を得られるため、無視できない要素です。
その他サポート
CBD商品を販売をする上では、様々な関連法令(大麻取締法・麻向法・薬機法・景表法・食品衛生法・食品表示法)を遵守する必要があり、マーケティングも容易ではありません。
これらを踏まえたサポートや提案をしてくれるOEM製造先は、付加価値の高さを評価できます。
・有効性のエビデンスデータの提示
・薬機法や景表法リスクを避けるためのアドバイス
・クレーム防止対策の策定
・訴求力の高いパッケージや容器のデザイン・素材提案
の有無もOEM製造先選びに欠かせない確認事項です。
品質管理体制
OEM検討者が気になるのは、やはり品質管理体制ではないでしょうか。
CBD商品の多くは、健康食品や化粧品として販売する商品です。
雑品扱いのベイプもありますが、人体に摂取する以上、お客さまの目も厳しく、健康被害などのリスクを考慮すると、最も重視したい一方で、見極めが難しいポイントです。
取扱CBDの法的適合性
日本において、CBD自体は違法ではなく、合法です。
成熟した茎や種以外は使用していないことを証明する誓約書、成分分析表、原料写真、成分表、製造工程表などを厚生労働省や検疫所へ提出し、大麻取締法だけでなく、薬機法(旧・薬事法)、食品衛生法をクリアすれば、問題なく、商用で取り扱えます。
ただし個人輸入や正規ではないルートで仕入れたCBDオイルに関しては、行政の基準をクリアしていない可能性もあります。
たとえば、CBDと同様の大麻成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が検出された場合、大麻取締法上の違法な所持行為に当たると判断される可能性が高いです。
取引する際には、OEM製造先が取り扱うCBDが法的適合性を満たしているか?下記の書類を求めることでチェック可能です。
・輸入許可通知書
・食品等輸入届出済証(食品の場合)
・厚労省への輸入前確認で提出した書類(成熟した茎や種以外は使用していないことを証明する誓約書・成分分析表・原料写真・製造工程表)
その他、原料の認証やトレーサビリティ(CBD原料の調達から、加工などの各工程の追跡)が確保されているか?も品質管理の判断材料です。
逆に、OEM製造先に、自社で用意した原料を持ち込んで製造依頼したいケースもあるでしょう。
その場合は、OEM製造先から、法的適合性や品質・安全性を証明する書類(原料調査書、企画書、試験成績書、成分分析書など)を求められますので、ご注意ください。
衛生管理体制
OEM製造先の工場内の環境や設備が清潔に保たれているか?は品質に大きく影響します。
手洗いや消毒の実施、防塵服の着用、エアシャワーやクリーンルーム・インターロックの設置、作業区分の明確化、それらのチェック実施状況などから、異物混入や汚染を防ぐための体制有無が判断できるでしょう。
HACCP・ISO22000・FSSC22000といった国際的な認証を取得していれば、間違いありません。
製造体制
誰がいつ製造しても、必ず同じ成分量で、汚染もないCBD商品をつくることができる体制かどうか、配合・攪拌、真空処理、充填、包装設備の充実度で計ります。
その他、温度・湿度・空調管理や空間洗浄設備が行き届いていることもチェックポイントです。
GMP(適正製造規範)のような製造工程管理基準の認証を取得していれば、間違いありません。
検査体制
どのような検査を行っているか?によっても、品質管理体制が判断できます。
原料の受け入れ段階はもちろん、製造工程、最終製品完成後、出荷前など、こまめに検査していれば、より安心ですし、検査の種類(目視、測定、官能)からも体制の充実度が測れます。
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経験と実績
依頼者ごとに要望は異なるもの。
OEM製造先が、CBD商品の製造にどの程度の経験とデータや実績を持っているか?を確認することも大切です。
各OEM製造先のポリシーによって開示範囲は変わりますが、遠慮なく処方実績や取引社数もヒアリングしてみましょう。
小ロットが得意、幅広い剤形に対応できる、安価な製造が得意、大手企業との取引が多い、などの強みをズバリ言ってもらえるOEM製造先だと検討しやすいですね。
コミュニケーションの取りやすさ
モノづくりとはいえ、結局は人対人の取引。
依頼者が製品に込めた想いを汲み取った上で、
・レスポンスの速さ
・依頼者目線の説明のわかりやすさ
・商品設計や納期など、細かい要望への柔軟な対応
・できないことがある場合の真摯な説明や、代替案や折衷案の提示
が、継続的な取引には欠かせません。
費用
対応範囲・品質管理体制・経験と実績・コミュニケーションの取りやすさといった基準をクリアすれば、あとはコスト比較になります。
各社、価格設定も異なりますので、複数のOEM依頼先から見積もりを取ることが重要です。
注意したいのは、製造費用以外の原料費、配送費、瑕疵があった場合の保証や、返品有無といった条件に漏れがないか?確認の上、明細をそろえて比較すること。
不要な明細や自社でまかなえる明細があれば削除するなどの交渉で、コストを圧縮することもできます。
一般的に、発注数が増えるほど、スケールメリットが効き、数量あたりの製造コストを抑えられる分、在庫リスクも高まります。
いずれにしても、価格だけで選ぶのではなく、自社が何を重視するのか?何を回避したいのか?を明確にし、選定基準に優先順位をつけてOEM製造先を選びましょう。
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CBD商品のOEM製造を依頼する側の注意点
2023年時点では、そもそもCBD商品を取り扱えるOEM製造先の絶対数が少ない状況です。
一方で新規参入が増えており、CBDブランドはますます増えています。
どちらかというとOEM製造先が、仕事を選べる立場にあり、CBDブランドより有利な立場にある売り手市場です。
このような市場では、依頼者であるCBDブランド側も、良い取引先と思ってもらえる努力が必要です。
コンプライアンス意識
CBDという成分に理解・知識があるだけでなく、関連法令(大麻取締法・麻向法・薬機法・景表法・食品衛生法・食品表示法)を遵守するコンプライアンス意識は、依頼側にも求められることはあまり知られていません。
たとえば、効果効能をうたい、薬機法違反をした販売方法をすると、警察や行政も商流を調査する中で、OEM製造先の関与を疑う場合があるからです。
OEM製造先の本音をうかがっても「関連法令をよく知らなかったり、コンプライアンス意識の低そうなCBDブランドとの取引は、正直、不安」という声が聞かれます。
また警察は、違反は把握しておきつつ、いったん泳がしておいて、目立ってきた(売上が上がってきた)タイミングで摘発する傾向にあります。
OEM製造先としても、売れ行きが良いからといって、額面通りに楽観視していないことを覚えておくと良いでしょう。
つくりたい商品イメージの共有化
「依頼したら、イメージ通りの商品が納品されなかった」という不満を聞くことがあります。
確かにOEM製造先の明らかな間違いもあり得ますが、意外と依頼側のイメージが伝わっていないことに起因するケースが多いです。
特に味や香りは、好みや感覚の違いもあり、言葉で伝えるのが非常に難しく「言わなくても、これくらい常識で分かるだろう」といった思い込みは、厳禁。
双方の認識が異なって当然という前提で「最終品のイメージが明確に湧く発注してくれると、非常にやりやすい」とOEM製造先は口々に言います。
必要に応じて、市販の類似品を送付するなど、味や香りの認識をすり合わせましょう。
終わりが見えない試作品づくりは、お互い疲弊します。
マーケットやお客さまの声に応じた柔軟性
最初から販路や顧客リストを持っているCBDブランドは、有利なスタートを切ることができるでしょう。
しかし、そうではないCBDブランドは、どうすれば良いでしょうか?
これまで多くの依頼を請け負ってきたOEM製造先に聞けば、成功するブランドの共通点は「試行錯誤が多いこと」と答えます。
1つの商品が最初から売れることはありません。
マーケットの流れを読み、お客さまの声を聞きながら、商品を改善し続ける柔軟性が求められるのです。
「この成分を使いたいから」「自分が欲しい商品をつくりたいから」といった、売り手の都合を重視したプロダクトアウト型の商品でも、成功する可能性はありますが、あまりにこだわり過ぎてなくなっていったブランドのなんと多いことか!
最初から大量の発注であることに越したことはありません。
しかし小ロットからの発注でも、中長期スパンで物事を考えられるブランドは、本気度と柔軟性を兼ね備えており、いずれ成長していく。
一発の打ち上げ花火で終わるよりも、そういった堅実なCBDブランドをOEM製造先は応援したいと思っているのです。
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