【神経科学者監修】なぜTHCは「ハイ」になるのに、CBDはならないの?

(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)

THC(テトラヒドカンナビノール)・CBD(カンナビジオール)・カンナビノイド・向精神薬・・・THCとCBDについて調べている方なら、これらの用語を少なくとも2つは耳にしたことがあるでしょう。

また、エンド・カンナビノイド・システム(ECS)やフィトカンナビノイド、さらにはテルペンについても耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、実際にそれらがどんな性質を持つかご存知ですか?

この記事は、THCを摂取すると「ハイ」になるがCBDではならない理由や、エンド・カンナビノイド・システムとTHCやCBDの関係について理解するために最適です。

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カンナビノイドとエンド・カンナビノイド・システムの役割

THCとCBDが私たちにどのような影響を与えるか?を知るために、まずエンド・カンナビノイド・システムについて理解しましょう。

エンド・カンナビノイド・システムは、体内で合成される伝達分子・結合する受容体・分解酵素の3つの要素によって、体の機能バランスを維持しています。

カンナビノイドがエンド・カンナビノイド・システムに作用することで影響を受ける身体機能で一例をあげると、痛み・ストレス・食欲・エネルギー代謝・心血管機能・報酬とやる気・生殖・睡眠などが挙げられます。

カンナビノイドの潜在的な健康効果は、炎症の抑制や吐き気の抑制など、多岐にわたります。

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カンナビノイドの種類

カンナビノイドは2種類に分けることができます。

体内でつくられるものは、エンドカンナビノイドと呼ばれます(体内で生成されるカンナビノイドがあり、それと結合するために特別に設計された受容体を私たちは持ちます)。

体外でつくられるものを外因性カンナビノイドといい、一般的にはフィトカンナビノイドと呼ばれます。

大麻(麻)は、その植物性カンナビノイドを多く生成する植物の一つなのです。

私たちの体はがカンナビノイドを生産し、大麻植物が生産したものに対する特別な受容体を持っています。

その事実から、人間と大麻の関係性は自然なものだと考える大麻ファンは少なくありません

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THC(テトラヒドロカンナビノール)の働き

大麻に含まれるカンナビノイドの中で最も多く含まれ、よく知られているのがTHC。

脳内のエンド・カンナビノイド・システム要素であり、酩酊状態を司るCB1受容体を、THCは活性化します。

THCで酩酊すると、前頭前野という意思決定や注意力・運動能力などの実行機能を司る脳の領域で、血流が増加することがわかっています。

これらの機能に対する、THCの効果には、個人差があります。

THCがCB1受容体に結合すると、脳の報酬系から多幸感が生まれます。

脳の報酬経路を活性化し、気分を良くすることで、再び大麻を摂取する可能性を高めるのです。

THCが脳の報酬系であるCB1受容体に結合することが、大麻が酩酊感や多幸感をもたらす大きな要因となっています。

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CBD(カンナビジオール)の働き

大麻に含まれる成分の中で、脳の機能に直接影響を与えるのはTHCだけではありません。

最も注目すべきは、大麻に含まれるカンナビノイドの中で2番目に多いカンナビジオール(CBD)です。

CBDは非精神活性と言われていますが、これは誤解です。

脳の機能に直接影響を与える物質にはすべて精神活性があります。

CBDは、非常に強力な抗てんかん作用と抗不安作用を持っているため、脳や中枢神経系に作用すると確実に精神活性作用が発生します。

CBDは確かに精神活動を起こしますが、酩酊作用はありません。

つまり、ハイにはならないのです。

これは、CBDがCB1受容体を活性化させ辛いことが理由です。

実際に、THCと共に摂取した場合には、CBDがCB1受容体の活動を妨害するということが実証されています。

THCとCBDが組み合わさってCB1受容体を活性化させると、ユーザーはCBDがない場合に比べて、よりソフトで繊細な高揚感を感じます。

また、パラノイアになる可能性も低下します。

これは、THCがCB1受容体を活性化するのに対して、CBDがそれを抑制するためです。

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CBDとTHCの相互作用について

一言で言えば、CBDはTHCの過剰摂取による認知機能の低下を防ぐことができます。

Journal of Psychopharmacology』誌に掲載された2013年の研究では、THC投与前にCBDを投与された被験者は、プラセボを投与された被験者よりもエピソード記憶障害が少なかったことがわかりました。

これはCBDがTHCによって起こる認知機能の低下を防ぐ可能性を示しています。

実際、2013年に科学雑誌に掲載された約1,300件の研究をレビューした結果、CBDはTHCの悪影響を打ち消すことがわかりました。

このレビューでは、より多くの研究と、実生活でTHC摂取に対するCBDの効果を調べる必要性も指摘されています。

しかし、既存のデータは十分に明確であり、意図せずTHCを過剰に摂取してしまった場合には、CBDが解毒剤として推奨されることが多いです。

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カンナビノイドと、体内システムとの相互作用

CB1受容体以外にも、THCとCBDはいくつかの受容体と結合します。

例えば、CBDは脳内で少なくとも12の作用部位を持ちます。

また、CBDは、CB1受容体を阻害することでTHCの作用とバランスをとることができます。

一方で、作用部位によってはTHCの代謝に別の作用を及ぼす可能性があります。

そのため、CBDは必ずしもTHCの作用を抑制したり、バランスをとったりするとは限らないのです。

それに、CBDはTHC摂取のメリットを直接高める場合もあります。

例を挙げると、CBDにはTHCによる鎮痛作用を相乗的に高めると期待されています。

THCは抗炎症作用と神経保護作用を持つ抗酸化物質ですが、これは主に、脳の痛みをコントロールする領域にあるCB1受容体を活性化することが理由です。

2012年の研究では、CBDが脊椎における痛みにおいて重要な役割を果たすα3グリシン受容体と相互作用し、慢性的な痛みや炎症を抑制することが明らかになりました。

これは、アントラージュ効果と呼ばれ、複数の大麻化合物が全体として作用すると、別々に作用する場合よりも大きな効果が得られるというものです。

しかし、この相互作用さえも完全には明らかになっていません。

2019年2月に行われた研究では、低用量のCBDはTHCの酩酊効果を高め、高用量のCBDはTHCの酩酊効果を抑えることがわかりました。

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アントラージュ効果におけるテルペンの重要性

アントラージュ効果は、THCとCBDの両方を含む大麻商品を摂取することで起こりますが、大麻の種類によって、2つのカンナビノイドの含有量は異なります。

たとえば、CBDを多く含むマリファナは、THCを多く含むマリファナとは異なり、より酩酊しにくい効果を得られます。

また、ヘンプ由来のCBDオイルにも微量のTHCが含まれているものがありますが、これは中毒症状を引き起こすレベルではありません。

THCやCBDと一緒に他のカンナビノイドやテルペンを摂取すると、興味深い現象が起こります。

CBN・CBC・CBGなどのカンナビノイドの単独作用についてはまだ解明されていませんが、脳の受容体と結合する能力があることから、THCの作用を増強・軽減・延長する可能性などがあります。

大麻のよく知られる副作用(例:カウチロック)には、THCそのものとはほとんど関係がなく、研究の進んでいないカンナビノイドが影響している可能性があります。

テルペンは、大麻に含まれるフィトケミカルの中で最も大きな割合を占め、複雑なアントラージュ効果の重要な要素であることが証明されています。

テルペンは大麻に独特の味と香りを与えるだけでなく、他のカンナビノイドをサポートして、生理的効果や脳への影響をもたらすと考えられています。

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最後に

大麻は様々な特徴を持つ植物であり、その効果や人体との相互作用に関する研究はほとんど行われていません。

THC・CBD・その他の大麻化合物がどのように連携し、エンド・カンナビノイド・システムと相互作用して感覚に影響するのか、研究は始まったばかりです。

<参考文献>
ウィードマップス(weedmaps)』アディ・レイ博士によるレビュー(2021年4月30日)
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※記事はアメリカでの法律、研究に基づいて作成されています。記載されている内容について日本国内での適法性や、記載されている内容の正確性は当社は保証しません。
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