【丸ごと解説】マリノールとは?

(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)
マリノールは、カンナビノイド系の経口薬です。

1985年にFDA(米国食品医薬品局)から治療目的として承認されました。

大麻(麻)の酩酊成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の合成物質「ドロナビノール」を含有しています。

マリノールは特に、HIV/AIDS患者の体重減少に伴う食欲不振や、がん患者の化学治療中の吐き気・嘔吐などの症状の治療に使われます。

『医療大麻の真実』の著者、福田一典先生が健康の不安や悩みにお答え

マリノールの詳細

マリノールは、ゴマ油に合成THCを配合したカプセル剤です。

THCは、神経系の受容体に結合して、食欲を刺激し、吐き気を軽減させます。

体内への吸収は、大麻を吸引した際と比べてゆっくりです。

マリノールは、精神に作用します。

人によっては高揚感や幸福感を感じたり、鬱状態をもたらすこともあります。

服用する際、車の運転は控えましょう。

授乳中の方は服用しないで下さい。

マリノールには処方箋が必要です。

18歳以上の患者が対象です。

睡眠薬、不安薬、抗うつ薬との併用は避けてください。

『医療大麻の真実』の著者、福田一典先生が健康の不安や悩みにお答え

マリノールの治療効果

マリノールは、AIDS(後天性免疫不全症候群)による食欲不振と、化学療法による重度の吐き気のみFDAの承認を得ています。

睡眠時無呼吸症候群・多発性硬化症(MS)・うつ病の治療薬としての研究が進められています。

マリノールと睡眠時無呼吸症候群

ドロナビノールは、成人73名を対象とした2018年の無作為化試験において、日中の眠気を軽減しました。

閉塞性睡眠時無呼吸の症状の改善も示しました。

Sleep』誌に掲載された結果では、高用量のドロナビノール(10mgと2.5mg)を服用した参加者が最も良い結果を表しました。

マリノールと多発性硬化症(MS)

European Neurology』誌に掲載された研究では、多発性硬化症患者の長期的な治療にドロナビノールの導入が検討されました。

この研究では、240人の患者にドロナビノールまたはプラセボを16週間投与しました。

ドロナビノールの鎮痛効果は不明ですが、研究者は認容性の高さに満足しています。

「全体として、この試験では、ドロナビノールの長期的な治療の見込みと良好な認容性が示されました。特に、薬物乱用と依存性の観点からの有効な安全性プロファイルも明確になりました」と述べています。

マリノールと腰痛

腰痛の中には神経障害性のものもあります。

研究者たちはマリノールの有効性について調べています。

カリフォルニア大学(サンディエゴ)では「神経障害性の腰痛の軽減を目的とした、ドロナビノールと気化した大麻の有効性を検証する臨床試験」の募集段階にあります。

この試験は広範囲で、大麻の全草を気化させた大麻とドロナビノールの併用による気分や心理的要因への影響を明らかにすることが目的です。

マリノールとアルツハイマー病

ジョンズ・ホプキンス大学(メリーランド州ボルチモア)とマクリーン病院が共同主催している臨床試験では、アルツハイマー病患者が抱く焦燥感に対するドロナビノールの治療方法を検証しています。

結果によっては、今後のマリノールの治療用途への可能性が広がるでしょう。

『医療大麻の真実』の著者、福田一典先生が健康の不安や悩みにお答え

よくあるご質問

Q.マリノールは「ハイ」になりますか?

マリノールの身体への吸収は、大麻を吸った際よりゆっくりです。

吸収されると、マリノールは精神の変化を引き起こします。

人によっては、高揚感や幸福感をより強く感じたり、憂鬱な気分をもたらす事もあります。

Q.マリノールは何に使われますか?

マリノールは、HIV/AIDS患者の体重減少に伴う食欲不振、がん患者の化学療法による吐き気と嘔吐の治療用に使われます。

FDAの承認を得ています。

Q.マリノールは規制薬物ですか?

はい、DEA(麻薬取締局)は、ドロナビノールとマリノールをスケジュールIII分類の薬物と見なしています。

「身心への依存の可能性が低・中程度である 」という意味です。

この分類の他の薬物には、コデイン入りタイレノール(タイレノール3)・ケタミン(スペシャルK、ビタミンK)・アナボリックステロイドなどがあります。

<参考文献>
ウィードマップス(weedmaps)』スニック・バーンズによるレビュー(2021年7月13日)
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『医療大麻の真実』の著者、福田一典先生が健康の不安や悩みにお答え