CBDは、何のために使われる?


(当記事は、アメリカでの法律、研究に基づいて作成されています)

最近は、ちょっとした買い物のついででも、CBD(カンナビジオール)商品を見かけない日はありません。

この気分を高揚させる精神作用がないカンナビノイドが話題になったことで、多くの人々がCBD商品を日々の健康維持のために取り入れるようになり、大手薬局チェーンや地元のカフェでも購入できるようになりました。

CBD商品の利点にまつわる評判はさておき、CBDの治療上の特性について、どのような研究結果が出ているのでしょうか?

この気分を高揚させる精神作用がないカンナビノイドの効果を最大限に引き出すためには、次のような疑問に対する答えが重要です。

  • CBDは何のために使われるの?
  • 最適な摂取方法は?
  • CBDの効果はどのくらい持続するの?

CBDの最適な摂取方法に触れる前に、まずはCBDの治療効果や薬効について、これまでの研究結果をご紹介します。

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CBDの特長は?

CBDが体内に取り込まれると、身体のメカニズムが呼び起こされて複雑な相互作用が生じます。

それがどのように治療効果を発揮するのか?完全に解明するには、さらなる研究が必要です。

しかし、これまでの研究により、CBDと人体との関係は、ある程度正確に把握できるようになりました。

▲CBDの鎮痛剤としての効果は、いくつかの研究で裏付けられています(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

痛みの緩和と抗炎症作用

CBDの鎮痛剤としての効果は、いくつかの研究で裏付けられています。

たとえば、CBDオイルは多発性硬化症(MS)の神経障害性疼痛やがんの難治性疼痛など、さまざまな慢性の痛みの治療に有効であることがわかっています。

また、2010年に『Future Medicinal Chemistry』誌に掲載された研究では、CBDには炎症の痛みを抑える効果があると結論づけています。

これまでの研究から、CBDは、体内や中枢神経系に存在するさまざまなタンパク質と相互作用することがわかっています。

この相互作用の大半は、身体機能の恒常性(ホメオスタシス)を調節する身体システム、すなわちエンド・カンナビノイド・システム(ECS)で行われています。

エンド・カンナビノイド・システムの内、特にCB1およびCB2カンナビノイド受容体がCBDに関与しています。

CBDは、カンナビノイド受容体の反応を弱める化合物であり、THC(テトラヒドロカンナビノール)が受容体に結合して酩酊感をもたらすのとは本質的に逆の働きをします。

また、CBDは、身体内部に存在するアナンダミドという分子の吸収を阻害する働きがあります。

アナンダミドは、身体内で生成される天然のエンド・カンナビノイド分子で、痛みを調整する機能を持つ神経伝達物質の一つです。

CBDがカンナビノイド受容体と相互作用すると、全身に存在するアナンダミドと2-アラキドノイルグリセロールの濃度が上昇します。

また、過去の研究では、CBDがα3グリシン受容体に作用して、グリシン受容体の機能不全にともなう慢性的な痛みや炎症を抑制することがわかっています。

エンド・カンナビノイド・システム以外では、CBDは、セロトニン受容体5-HT1Aや、バニロイド受容体TRPV1などの受容体タンパク質にも作用します。

CBDの抗炎症作用や鎮痛作用は、これらの受容体が関わる生物学的経路の活性化によるものではないか?とも言われています。

▲CBDは、痛みを調整する天然のエンドカンナビノイド分子であるアナンダミドの吸収を阻害する働きがあります(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

不安とうつ病

うつ病や不安障害の治療薬として、CBDの効果が期待される証拠もあります。

例えば『Brazilian Journal of Psychiatry』誌に掲載された2019年2月の研究論文では「人前で話すなどの社会活動時の不安を軽くするには、300mgのCBDが最適な用量である」と結論づけられました。

また、2014年には「CBDが抗不安作用や抗うつ作用を示す」という研究結果が発表されるなど、動物モデルを用いた研究でも同様の結果が得られています。

さらに、THCに対してCBDの比率が高い大麻(麻)が、うつ病の症状の軽減に役立つことを示唆する証拠もあります。

てんかんと発作

CBDがメジャーになるずっと前から、CBDは子どもから大人まで、てんかんの発作を抑える非常に効果的な治療法として広く知られていました。

事実、大麻由来の薬として初めてFDA(米国食品医薬品局)に承認された『エピディオレックス(Epidiolex)』は、ドラベ症候群やレノックス・ガストー症候群などの重度のてんかんに苦しむ子どもの治療の選択肢となっています。

小児患者にフォーカスした2018年の研究では、大麻の全草CBDオイルが患者のてんかん発作を減少させ、10%は完全に発作が起こらない状態になるという結果が出ています。

依存症

CBDは、オピオイドやタバコへの依存症の治療薬の候補として注目されています。

モントリオール大学病院センターの研究者が発表した2015年のレビュー論文では、14件の研究結果をまとめ、オピオイド・コカイン・精神刺激薬の依存症にCBDが治療効果をもたらす可能性があると結論づけています。

また『Addictive Behaviors』誌に掲載された2013年の研究では、CBDがタバコ依存症を軽減するかどうかを調べました。

12人のタバコ依存症患者にCBD吸引器を、別の12人にプラセボ(偽薬)を1週間投与したところ、CBD投与群では喫煙本数が40%も減少したのに対し、プラセボ群では顕著な違いは見られませんでした。

▲CBDは、オピオイドやタバコへの依存症の治療薬の候補として注目されています。

その他の身体症状

CBDの効能を完全に理解するにはさらなる研究が必要ですが、それでも多くの消費者が、この高揚させる精神作用がないカンナビノイドを日常生活に取り入れようとしています。

たとえば、CBDは、不眠症やその他の睡眠関連の悩みに対処する代替療法として人気を得ました。

Permanente Journal』誌に掲載された2019年の論文では、不安と睡眠に悩む72人の患者を対象にしたケース・スタディの結果が報告されています。

このうち、25人の患者は睡眠不足を一番の悩みとして挙げていました。

CBD治療を開始して1ヶ月後の評価では、睡眠が悪化した患者が25%だったのに対し、睡眠が改善した患者は66%でした。

治療開始2ヶ月後の評価では、56%の患者が1ヶ月目に比べて「睡眠が改善した」と回答しました。

しかし、CBDで治療を受けた被験者は、不眠症以上に不安感が顕著に軽減されたことが、この研究によって示されました。

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CBD商品の種類

CBD商品にはさまざまな種類があり、それぞれが治療につながる可能性を秘めています。

2018年に可決され、2019年1月に施行された米国農業法案により、THC含有量が0.3%以下のヘンプ(産業用大麻)栽培が合法化され、ヘンプ由来のCBD商品はFDAの監視下に置かれることになりました。

アメリカ以外でも、CBD商品は国際的にヒットしています。

2018年10月17日から成人用大麻が合法化されたカナダでは、すべての州でヘンプ(産業用大麻)由来、マリファナ(嗜好用大麻)由来いずれのCBDが販売されています。

また、EU(欧州連合)では、ヘンプ由来のCBDオイルの規制ガイドラインを策定し、THC含有量が0.2%を超えないことを条件にヘンプの栽培を許可しています。

また、メキシコやブラジルなどの中南米諸国でも、CBDオイルや医療用大麻に対する規制が緩和されています。

▲CBD商品にはさまざまな種類があり、それぞれ治療につながる可能性を秘めています(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

言うまでもなく、世界中でCBDが広く受け入れられたことで、新商品が市場で広まっています。

摂取方法は、CBDの効果とその持続時間に大きく影響します。

ここでは、CBD商品の代表的な種類とその使用方法をご紹介します。

経口摂取

CBDティンクチャーやオイルを摂取するには、さまざまな方法がありますが、一般的には経口摂取するのが最も手っ取り早くて簡単な方法とされています。

CBDオイルに付属のスポイトを使って、2~3滴を直接口に入れるだけです。

しかし、CBDオイルを飲み込むと、まず消化管を通って肝臓に入り、そこで分解されてから血流に乗ります。

食べるタイプのCBD商品を摂取しても、体内ではオイルの経口摂取と同じように処理されます。

CBDは消化管と肝臓を通過して血流に乗るため、この方法では一部が分解されてしまい、血漿中のCBDの総濃度は低下します。

既存のエビデンスによると、CBD化合物が肝臓で代謝される際には「初回通過効果」と呼ばれるプロセスを経ることが示唆されています。

肝臓のCYP450(チトクロームP450)という酵素作用によってCBDの濃度が低下した後、残ったCBDが血流に乗って全身に循環します。

舌下からの摂取

舌下からの吸収は、消化器や肝臓を迂回できるため、CBDを飲み込んで摂取するより効果的な方法と考えられています。

CBDオイルをすぐに飲み込むのではなく、数滴を舌の下に垂らし、飲み込む前に60秒間その状態を保つことでCBDが口内の粘膜に吸収されます。

このように、舌下法は代謝プロセスを完全に飛ばして、経口摂取よりも多くのカンナビノイドが速やかに血流に入ります。

▲オイル数滴を舌の下に置き、飲み込む前に60秒ほどそのままにして、CBDが口の中の粘膜に吸収されるようにします(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

吸引摂取

CBDを血液中に速やかに吸収させるための効果的な方法を求めるなら、高濃度CBDが含まれる大麻品種の喫煙やCBDの蒸気吸引も有効な選択肢となります。

CBDを吸うと、カンナビノイドは肺に入り、速やかに血流に吸収されて全身に循環します。

皮膚への塗布

CBDクリームやCBD軟膏などの塗り薬は、皮膚の表面から吸収され、塗った部分のカンナビノイド受容体と相互作用します。

CBDを配合したさまざまな塗り薬があり、局所的な痛みや炎症に対処するのに有効です。

なお、皮膚はカンナビノイドの吸収率が低いため、毛穴から皮膚に浸透させるためには、かなりの量のCBD商品を塗る必要があることを覚えておいてください。

▲CBDクリームやCBD軟膏などの塗り薬は、皮膚の表面から吸収され、塗った部位にあるカンナビノイド受容体と相互作用します(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

CBDアイソレート

「CBDアイソレートは何に使われているのだろう?」と疑問に思ったことはあるでしょうか。

その答えは、文字通り、クリア(明確)です。

この混じりけのないCBDは、99%以上の純粋なCBDを含む結晶性の固体または粉末とされています。

CBDアイソレートは、そのまま服用するほか、食べ物や飲み物に混ぜて摂取したり、煙や気化して吸引したりすることもできます。

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ヘンプ由来とマリファナ由来のCBD

ヘンプ由来とマリファナ由来のCBDオイルの違いを区別して理解することも重要です。

米国連邦法では、大麻由来のCBD商品のTHC含有量は0.3%以下であることが義務付けられています。

しかし、酩酊状態を引き起こすマリファナ種の大麻草からCBDを抽出すると、THC含有量が著しく高いCBD商品ができてしまいます。

THCが含まれるマリファナ由来のCBD商品は、医療用と成人向け嗜好品の市場でしか合法的に入手できませんが、この2つのカンナビノイドを組み合わせることで「アントラージュ効果」と呼ばれる相乗効果が得られます。

例えば、CBDがTHCと組み合わされた場合「高濃度のTHC摂取にともなうパラノイアや不安感などの副作用が軽くなる」という研究結果があります。

▲ヘンプ由来のCBDオイルとマリファナ由来のCBDオイルの違いを理解して区別することも重要です(写真:ジーナ・コールマン/ウィードマップス)

マリファナ由来の商品を合法的に入手できない人は「アントラージュ効果がそんなに優れているのなら、CBDヘンプオイルは何に使うのだろうか?」と不思議に思われることでしょう。

ヘンプ由来のCBDは、THCのような酩酊感をもたらすことなく、治療効果を発揮します。

CBDの効果を評価するには、THCがある場合とない場合、両方の条件下でさらに研究していくことが必要です。

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CBDの持続時間は?

CBDの効果の発現時間および持続時間は、摂取方法・摂取量・および体格や代謝などの個人的な要素を含む多くの条件によって決まります。

  • 経口摂取:CBDの効果が最終的に発揮されるまでに1~2時間かかることもありますが、効果は最大で6時間持続します。
  • 舌下からの摂取:舌下の粘膜に吸収されたCBDはすぐに血流に入るため、摂取後すぐに効果を感じることができます。舌下摂取の場合、CBDの効果は摂取した量に応じて4〜6時間持続します。
  • 吸引摂取:CBDを喫煙または蒸気吸引した場合、摂取後3分以内に血漿中のCBD濃度がピークに達するため、ほぼすぐに効果を感じることができます。吸引したCBDの効果は、摂取量にもよりますが、2~3時間程度持続します。
  • 皮膚への塗布:CBDを皮膚に部分的に塗った場合、90分後にピークを迎えます。CBDの浸透性はTHCの10倍です。この方法は、特定の部位の慢性的な痛みに対処するのに最適です。
<参考文献>
ウィードマップス(weedmaps)』レスリー・ニックスによるレビュー(2020年8月17日)
※当サイトでご紹介する商品は、医薬品ではありません。また、病気の診断、治療、予防を目的としたものでもありません。
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